子ども向けマイクラ災害マップや3D空間思い出アプリ、都市でマウントなどが登場! 仙台で今年最後のPLATEAUハッカソンを開催
「PLATEAU Hack Challenge 2022 in enspace(仙台)」レポート
グランプリはマインクラフトを活用した「キッズ向けさいがいMAP」
2日目の成果発表会では、7チームによる各5分間のプレゼンとデモが行われた(うち1チームはオンラインで発表)。審査委員は、柴山明寛氏(東北大学災害科学国際研究所)、Kula Takahashi氏(TIS株式会社)、簗瀬洋平氏(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン株式会社)、内山裕弥氏(国土交通省)の4名。審査基準は以下のとおり。
・3D都市モデルの活用
・アイデア
・デザイン
・技術力
・地域貢献
審査の結果、TeamMの「キッズ向けさいがいMAP」がグランプリを受賞した。
「TeamM」チーム-キッズ向けさいがいMAP
「キッズ向けさいがいMAP」は小中学生向けの防災教育コンテンツ。小学生が親しみやすい『マインクラフト』にPLATEAUの3D都市モデルを変換して取り込むことで、ゲーム上に街並みを再現している。ゲーム感覚で洪水による浸水被害について学べる作品だ。
住んでいる地域の洪水の危険度を学ぶための流れは、3D都市モデルを活用してマインクラフトに再現したワールドの中で任意の場所に自宅をブロックで配置し、大雨を降らすことで洪水による浸水被害状況を再現してみる、という手順だ。デモでは福島県郡山市のデータが用いられた。ここは近年、逢瀬川の浸水被害が出ている地域だ。
実装で工夫した点は、建物などのテクスチャの色だという。CityGMLのテクスチャデータはRGBだが、それを点群データとしてマインクラフトのブロックに持ってくると、色数が多すぎる。そこでHSVに変換し、マインクラフト上で街らしく、建物らしく見えるようにしたとのこと。CityGMLからRGBの点群データ、HSVへの変換にはTransformerが提供されており、すべてFME Desktopで処理しているそうだ。
※参考
CityGMLからRGBの点群データへの変換:https://docs.safe.com/fme/html/FME_Desktop_Documentation/FME_Transformers/Transformers/pointcloudcombiner.htm
RGB点群データからHSVへの変換:https://hub.safe.com/publishers/ellipso-facto-official/transformers/pointcloudhsvconverter
マインクラフトを使っていることから、その利用規約に則り、今後は非営利の防災教育用コンテンツとして展開していきたいという。
審査員のKula氏はその完成度を認めたうえで、子どもがマインクラフトの世界で起こることとリアルな防災を頭の中で結び付けられるのか、と疑問を呈しつつ、防災教育の研究者と組んで開発を進めてはどうか、とアドバイスした。また、「自分で作ること」を楽しむマインクラフトの特性を活かす仕掛けも欲しい、と付け加えた。
災害科学を専門とする芝山氏も非常に面白いしすぐに使えそうだ、と高評価。さらに災害を起こす側と防御する側を設定し競い合う形にすると、ゲーム性が出て、どうすれば被害を抑えることができるか、などのシミュレーションにもなると指摘した。
グランプリ受賞のポイントとして内山氏は、「PLATEAUのデータをマインクラフトのような既存のプラットフォームにどう落とし込むか、子どもをターゲットにどのようにまちづくり、防災について教育をしていくかということは国交省としても取り組んでいるテーマ。『キッズ向けさいがいMAP』はそうした問題意識を見事に形にしている、実装力・アイデア・ソリューションの部分で他チームを抜いた形だった」と評価した。