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暗号通貨取引所FTXの破産、影響は海外に波及、個人取引規制強化にも

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FTX破綻の理由

 FTX破綻のきっかけの1つは、ステーブルコイン「UST」の暴落とそれに端を発する暗号通貨市場の低迷だ。

 暗号通貨市場では他の暗号通貨企業から資金を借り、それにレバレッジをかけて運用することが多い。短期間で暗号通貨の価格が高騰する背景には、このレバレッジ取引があるといわれている。市場全体が強気のときは、多額の利益を得られる反面、市場が低迷した場合、損失拡大のリスクを負うことになる。FTXやAlamada Researchも他の企業から借りた資金にレバレッジをかけ運用していたと報じられている。

 UST暴落の影響は、まずAlamadaに直撃した。同社に資金を貸していた債権者らがAlamadaから資金を引き上げようとしたが、Alamadaには返還できるだけの流動資産がないことが発覚。またAlamadaの損失補てんのため、フリード氏は取引所であるFTXに預けられた利用者の資金を流用したと報じられているのだ。Alamada救済のために流用されたFTXの預け入れ金額は、数十億ドル規模に上るという。

 取引所が許可なく利用者の預け入れ金を利用することは、FTXの自社条項に違反しているだけでなく、米国証券取引法に対する明らかな違反と指摘されている

 FTXには多数の債権者がいることが予想されていたが、2022年11月15日には、債権者が100万人を超える可能性があるとの報道が発表された。上位10人の債権者に対して、約14億5000万ドルの債務を負っているという。

米国外にも広がる影響

 FTX破綻の影響は、米国以外にも波及している。

 FTXが本社を構えていたバハマでは、同社による支出や雇用が消失したほか、地元警察の捜査が実施されるなど、さまざまな影響が出ている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、FTXはバハマ本社オフィスのケータリングサービスに、1週間あたり10万ドル以上を支出。また、現地で働く社員用のプライベートシャトルサービスにも多額の予算を使っていたという。バハマ本社で働く社員の多くが香港から移動してきた社員とみられており、ケータリングの料理では中華料理が最も多かったと同紙は伝えている。

 WSJは地元銀行関連者の話として、FTXがバハマの地元銀行に対し、現金を預け入れると、最大12%の利息が支払われるというオファーを提供していたとも伝えており、米国以外でも積極的に資金調達しようとしていた形跡がみられる。

 バハマだけでなく、クリプトハブを目指すシンガポールやドバイでも、FTXに関連する動きが報じられている。

 シンガポールでは、通貨金融庁(MAS)が、FTX破綻に対する公式見解を発表。この発表でMASは、暗号通貨取引が非常に危険であると強調しており、現在進めている個人の暗号通貨取引規制に対する姿勢がこれまで以上に強まった格好だ。

 またクリプトハブを目指すドバイでは、これまで比較的緩い条件で暗号通貨企業へのライセンスを与えてきたが、FTX破綻を受け、評価基準が厳格化される可能性が浮上している。FTXは、ドバイの仮想通貨ライセンスを早期に獲得した企業の1つでもある。

 FTX利用者が多かった国で、世界最多となるのは韓国、これにシンガポール、日本が続く。また、ロシア、ドイツ、トルコ、台湾、インド、エジプトの利用者も多いことが判明している。FTX破綻がもたらした波及はいまも広がっている。

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