暗号通貨取引所FTXの破産、影響は海外に波及、個人取引規制強化にも
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米国内メディアでは、2022年11月11日に経営破綻した暗号通貨/資産取引所大手FTXに関連するニュースが連日報じられているが、その影響は米国内だけでなく、海外にも波及しており、今後もしばらく関連報道が続きそうだ。
つい最近まで注目されていたのは、FTXとのつながりのある複数の企業にどのような影響があるのかという点だったが、現在はFTX共同創業者であるサム・バンクマン=フリード氏の責任問題の追求と刑務所入りの可能性などが目下の注目トピックとなっている。
以下では、2022年11月28日時点までの情報をまとめ、FTX破綻の余波がどこまで及んでいるのか、その最新動向をお伝えしたい。
FTXとは
まずは、FTXとはどのような企業で、どれほどの規模だったのか、同社の変遷と事業規模についてみていきたい。
フリード氏がFTXを立ち上げたのは2019年5月。共同創業者として、Zixiao "Gary" Wangという人物についても報じられている。暗号資産取引所であるFTXであるが、その前身はフリード氏が2017年に立ち上げた暗号資産トレーディング企業Alameda Research内での取り組みにある。
Alameda Researchは、暗号資産取引所間における価格差から利益を得るいわゆる裁定取引で多額の資金を稼いでいたといわれている。現在、世界各地の暗号通貨取引所の間で、価格差が広がることは滅多にないが、2017年当時は特定の国の暗号通貨取引所の価格が他国の取引所を上回ることが多々あったといわれている。フリード氏は今年9月、CNBCの取材で、Alameda Researchでは多いときで、1日あたり100万ドルの収益があったと語っている。
勢いづいたフリード氏は2019年5月にFTXを創業。FTXには、ソフトバンク、セコイアキャピタル、シンガポール政府系投資ファンドのテマセクなどから多額の投資資金が集まり、短期間で急拡大した。法人登録は、カリブの島国アンティグア・バーブーダ。本社はもともと香港にあったようだが、2021年9月にバハマに移転している。
FTXは、直近のシリーズCラウンド(2022年1月)で4億ドルを調達、これに伴い評価額は320億ドルに達した。また2022年3月には、フリード氏の個人資産も160億ドルに膨れ上がっていたと報じられている。
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