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鉄板&今が旬なパーツを性能検証!! 第52回

エアフロー強化におすすめ

【鉄板&旬パーツ】定番140mmファン4製品の性能を比較

2022年11月27日 12時00分更新

文● 藤田 忠 編集●北村/ASCII

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140mm径ファン4種をテスト

 各ファンの基本スペックを把握したあとは、実動テストだ。パフォーマンステストは、マザーボードのファンコントロール機能を利用して、回転速度を30%~100%まで10%刻みに変更、各速度での動作音を計測した。

テスト環境
CPU インテル「Core i9-12900K」
(16コア/24スレッド、最大5.2GHz)
CPUクーラー Deepcool「AK620 ZERO DARK」
(サイドフロー空冷クーラー、120mmファン×2)
マザーボード MSI「MAG Z690 TOMAHAWK WIFI DDR4」
(インテルZ690、ATX)
メモリー G.Skill「F4-3600C16D-32GTZNC」
(16GB×2、DDR4-3600)
ビデオカード Palit「GeForce RTX 3080 Ti GamingPro 12GB」
(GeForce RTX 3080 Ti、12GB GDDR6X)
ストレージ Samsung「980 PRO MZ-V8P2T0B/IT」
(2TB M.2 SSD、PCIe4.0 NVMe)
電源ユニット SUPER FLOWER「LEADEX VI PLATINUM PRO 1000W」
(1000W、80PLUS PLATINUM)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」22H2

 騒音値はPCケースフロントへの取り付けを想定したファン軸から斜め前40cmの位置と、リアやトップの排気ファン想定として排気側から30cmの位置で計測している。さらに今回は参考程度だが、数千円のデジタル風速計を用意したので、ファン排気側20cmの位置での風速(m/s)も計測した。まずは回転速度ごとの騒音値を確認していこう。

TL-B14Wの騒音値(dBA、暗騒音 34.8dBA)
出力 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
回転数 500~520rpm 670~680rpm 820~840rpm 970~1000rpm 1100~1150rpm 1250~1280rpm 1380~1420rpm 1520~1550rpm
吸気 36.1 36.1 36.2 36.3 36.6 37.3 38 39.3
排気 36.7 36.7 37.5 39.8 42.8 44.3 48.4 49.8

 今回のメインである「TL-B14W」からみていくと、静音性は良好で100%でも吸気側は40dBAを切っていた。排気側はさすがに風が騒音計に当たるのもあり、49.8dBAになったが、4製品のなかでは2番手に静かだ。80%あたりから“ブーン”という風切り音に気がつくが、高周波音はなく、試した個体(2個所有)では軸ブレはなかった。

 また、フレームの剛性が高いため、高速回転で振動を感じることもなかった。PCケース次第だが、フロントメッシュ仕様のケースのフロントや、PCケースのリア、トップに取り付けるなら、最大回転速度を70~80%にするか、常時70~80%回転に設定するのが良さげだ。

NF-A14 PWM 騒音値(dBA、暗騒音 34.8dBA)
出力 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
回転数 700rpm 850~870rpm 1000~1030rpm 1150~1170rpm 1300~1320rpm 1430~1450rpm 1540~1560rpm
吸気 36.3 36.5 36.6 37.1 38.1 38.9 40.5
排気 36.5 37.6 39.6 41.5 44.5 46.8 48.5

 次はnoctua「NF-A14 PWM」の結果をみていこう。こちらも100%回転での騒音値は吸気側40.5dBA、排気側48.5dBAと優秀だ。回転速度70%あたりから、“シャー”という回転音が耳につくので、吸排気側ともに40dBAを切っている60%前後での運用がベストかもしれない。

 付属のローノイズアダプターを使えば、最大回転数は1200rpmに制限されるので、PWM制御のポン付けでの運用もオッケーだ。静かなだけでなく、回転数のブレが少ないなど、2012年のリリースから10年たった今でも愛用者が尽きない製品だけはある。

TOUGHFAN 14 騒音値(dBA、暗騒音 34.8dBA)
出力 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
回転数 700~730rpm 950~980rpm 1170~1200rpm 1380~1420rpm 1560~1620rpm 1750~1800rpm 1910~1960rpm 2060~2130rpm
吸気 36.3 36.5 37.4 39.4 41.8 44.3 47.3 49.2
排気 37.1 39.8 43.7 48.6 52.3 54.4 56.7 59.2

 3製品目は運用時のカスタマイズが、必要と言えるThermaltake「TOUGHFAN 14」だ。最大回転数が2000rpmに達するだけあって、100%だと吸気側、排気側ともに爆音だ。

 ほかの3製品と同じ最大回転数の1500rpm台となる70%のところでみても、吸気側41.8dBA、排気側52.3dBAと高めになっている。50%のラインまで落とすことで、動作音はかなり気にならないようになるが、それでも少し回転音が耳についた。

 回転速度をカスタマイズすることで、ある程度の動作音は妥協して、冷却性重視でラジエーターファンに使うなど、幅広いシーンに使えるのは良い。

P14 PWM 騒音値(dBA、暗騒音 34.8dBA)
出力 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
回転数 580rpm 780rpm 900~930rpm 1100~1120rpm 1280~1300rpm 1430~1460rpm 1580~1620rpm 1720~1760rpm
吸気 35.8 36.1 36 36.1 36.4 36.8 37.5 39.1
排気 36.1 36.8 37.7 41.5 43.6 48.6 51.8 52.9

 続いては「P14 PWM」の騒音値をみていこう。回転数が1700rpm台になっている100%でも吸気側39.1dBA、排気側52.9dBAと静音性は、なかなか優秀だ。「TL-B14W」や「NF-A14 PWM」の最大回転と同じ、1500rpm台をみると吸気側は37.5dBAと最も静かだ。高い回転速度で静かに運用することができる。

 ただ、フレーム剛性は価格相応で、個体差もあるが振動は大きく、回転速度60%あたりから振動を感じた。ラジエーター固定時は問題ないが、ファン取り付け部のフレームが薄いPCケースでは共振が心配なので、防振ゴムブッシュなどを用意したい。

4製品の風速を比較

 最後に回転速度ごとの風速を確認していこう。それぞれのベストな回転速度の風速をみると、「P14 PWM」が最も高くなっている。振動対策が必要になるが、在庫があればかなり狙い目と言える。

 肝心のホワイトカラーの「TL-B14W」も70%~80%の風速は1.2~1.4m/hと、定番2製品と比べて見劣りしない結果になっている。

 また、さまざまなシーンで使える「TOUGHFAN 14」も、50%で1.4m/hに達し、回転速度を上げるとともに、しっかりと風速は増している。

風速(m/h)
出力 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
TL-B14W 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8
NF-A14 PWM 0.7 0.9 1.1 1.2 1.4 1.6 1.8
TOUGHFAN 14 0.8 1.1 1.4 1.7 2.0 2.1 2.3 2.5
P14 PWM 0.5 0.7 1.0 1.2 1.5 1.7 1.8 1.9

 「TL-B14W」は白いというカラーコーディネート面だけでなく、静音やエアフロー面も不満なしだ。140mm径の白色ファンを探していた人、これから140mm径ファン対応の白色PCケースで組もうと考えている人は“買い”と言える。

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