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特許から見るWeb3の動向

連載
知財で読み解くITビジネス by IPTech

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スタートアップと知財の距離を近づける取り組みを特許庁とコラボしているASCIIと、Tech企業をIP(知的財産)で支援するIPTech特許業務法人による本連載では、Techビジネスプレーヤーが知るべき知財のポイントをお届けします。

はじめに:政府戦略においても取り上げられているWeb3

 この連載をご覧になっている方にとってWeb3という言葉は頻繁に耳にされることと思います。

 政府の各種審議会等においても、「Web3時代の~」といった枕詞を数多く見かけるようになりました。政府としても、国家成長戦略上においてWeb3時代を念頭に置いた戦略が必要であることを認識している証拠だと思います。

※世間では、同じ内容を指し示す言葉としてWeb3とWeb3.0という用語が混在していますが、本稿は「Web3」という記載に統一します。

図1:Web3.0に関連する政府方針文書(2022年10月) (出典:”デジタル庁第1回Web3.0研究会【資料3】事務局説明資料:https://www.digital.go.jp/councils/31304f21-d56a-4d15-b63e-3b9ef1b96e38/

 特にWeb3については、政府を含めた各方面の注目度は非常に高いものの、Web3という用語が指し示す内容、および、Web3が社会に与える影響について、さまざまな解釈が存在し、従って、Web3が提供するメリットについても議論が生じているように考えています。

 本稿では、定義やその解釈に議論がある中、現時点で実現されているWeb3に関連する技術及び企業についてご紹介し、さらに、特許情報から見える動向を解説します。

Web3とは何か

 Web3という用語について厳密な定義はありませんが、最大公約数的に考えると、「ブロックチェーン(分散型台帳)」を用いたものであると言うことができます。

 Web3は、Web2(Web2.0)と比較して「非中央集権的」であるということが強調されることが多いです。これは、Web2が、提唱された当初において開かれたネットワークであることが強調されたものの、その後、データの保有等の権限がGAFAM(Google、Amazon、Facebook(現在はMeta)、Apple、Microsoft)といったプラットフォーム事業者に集中したことの反省として、プラットフォーム参加者・利用者に所有権を取り戻そうという趣旨でWeb3が提案さたことが背景にあります。

 このような文脈で、Web3という用語の定義にNFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)、DAO(Decentralized Automonous Organization:分散型自律組織)を含む場合があります。さらに、Fintechという観点から、DAOの考え方に基づくDeFi(Decentralized Finance:分散型金融)をWeb3の一形態に含めることもあります。

 Web3という用語自体が多義的ではあるものの、この記事では、Web3は「ブロックチェーン(分散型台帳)」を用いたものであり、NFT、DAO、DeFiを重要な要素として含むものであるとして話を進めます。政府系の審議会でも、明確な定義はないものの、同様の捉え方をしているようです。

図2:Web3の提唱(2022年8月) (出典:”Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会(第1回)資料1-2 事務局資料:https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/metaverse/01_siryou.html

 なお、NFTについては本連載の第14回(https://ascii.jp/elem/000/004/067/4067636/)で取り上げましたが、説明の都合上、一部重複して取り上げる部分があることをご承知ください。

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