メタは11月9日、1万1000人規模の大幅な人員削減を発表しました。メタの全従業員数約8万7000人の13%に相当する数字です。
株価の下落が止まらないことでマーク・ザッカーバーグCEOが相当なプレッシャーを受けていたのは確かです。
直近で株価が落ちたのは10月27日の決算発表後。ザッカーバーグが「今後も赤字は増える」「メタバースはやめない」と言ったことで一斉に売りが入りました。
メタの株式を2%ほど持っていたAltimeter Capitalは決算直前に「従業員数を20%削減」「資本的支出を300億ドルから250億ドルに削減」「メタバースへの投資を50億ドル以上にしない」といった要求を出しました。しかし決算説明会時、ザッカーバーグはそれらの提案を蹴飛ばしています。
結果、決算発表後の株価はついに一時90ドルを切るほどになり、ピーク時の378ドルから4分の1ほどまで下落。ついに大幅な人員削減をせざるを得ない状況にまで追い込まれることになってしまいました。
景気後退とアップルの広告規制で苦境に
メタは以前から出血を止めるため、採用を凍結する動きを見せていました。
今年5月には新たにシニアクラスの従業員を採用しない方針になり、今年9月には完全に新規採用を凍結していました。そして今回、メタバース部門も含めて全体をシュリンクするという方針になった形です。さらにはザッカーバーグも責任をとるという話をしていました。役員報酬の返還程度で済めばいいんですが、もしCEO交代なんて事態になってしまったら、どうなるのかわかりません。
どうして業績がここまで悪化してしまったのか。
今までの決算資料を見ると、毎日29億3000万人のユーザーが、「Instagram」「Messenger」「WhatsApp」など同社のアプリを何らか使用しており、ユーザー数はむしろ増加傾向にあるようです。
しかし、昨年からアップルがターゲティング広告に規制をかけたことで、広告の価値が下がってしまっていました。アップル経由の収入が減っていく中、景気後退が進んだことで各社が広告出稿を見送るようになりました。結果、広告によって成り立っていたソーシャルメディア事業の業績は苦しくなっていきました。
そんな中でもメタバース部門への投資は変わらず進めていて、毎年約1兆円の赤字を出していたわけです。
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