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IaCの知見がない開発者もセルフサービスでインフラのプロビジョニングが可能に

「Terraform」にノーコードでのワークフロー作成機能追加

2022年10月13日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 HashiCorpは2022年10月6日、米ロサンゼルスで開催された年次イベント「HashiConf Global 2022」において、IaC(Infrastructure as Code)ツール「Terraform」の新機能として、GUIを用いてプロビジョニングのワークフローを作成できる「ノーコードプロビジョニングワークフロー」を発表した。

ノーコードで簡単にプロビジョニングワークフローを作成できる新機能を発表

HashiCorp共同創業者兼CTOのアーモン・ダドガー(Armon Dadgar)氏

ワークフローと拡張性を特徴とするTerraform

 Terraformは、クラウド/オンプレミスのインフラ環境をコードとして定義できるソフトウェアであり、HashiCorpの主力製品となっている。

 6日の基調講演において、共同創業者兼CTOのアーモン・ダドガー氏は「HashiCorpの考えるインフラ整備は3ステップで進めることができる」と語った。

 まず第1フェイズは受け入れと確立だ。「まずはIaCを受け入れ、確立する。これまでのアプローチから大きなシフトが要求される」。

 第2フェイズは標準化。「標準化して拡張させる。最初は1チームしか使っていなかったIaCを、5チーム、10チームと増やし、コアのデータベースの定義、ネットワーク、コアサービスの定義などを一貫性がある方法で行う」。

 そして第3フェイズはオペレーションと最適化となる。ダドガー氏は「部門全体にIaCを拡張させて使いながら、最適化をはかる。セキュリティ対策、コンプライアンス、コスト制限などを進める」と説明する。

 Terraformは2014年にバージョン0.1をリリース以来、インフラチームを支援するために「ワークフロー」「プラグインによる拡張性」「管理」という3つの点にフォーカスしてきた。

 例えば、2017年にモジュールを登録して再利用することで容易にプロビジョニングができる「Terraform Registry」を導入した。モジュールの数は現在100以上にのぼり、その中には数百万回ダウンロードされているものもあるという。同じく2017年には“コードとしてのポリシー”を実現する「Sentinel」を発表した。Terraform Cloud上で実行されたポリシーチェックは350万回に及ぶという。

 現在、Terraformのダウンロード回数は年間1億件以上となり、有償版製品であるTerraform Enterpriseの顧客数は470に達している。「従来のチケットを用いた手作業での管理ではなく、自動化されたワークフローを用いた(自動化された)管理という考え方が浸透している」とダドガー氏は説明する。

 このほか、2021年にはTerraformを拡張して異なるシステムにプラグインできる「Run Task」、2022年にはドリフト(コードで定義されたインフラと実際のインフラの間で生じるずれ)を検出してアラートを出す「Drift Detection」機能をベータリリースししている。すでに2000以上の企業がこの機能を有効にしているという。

「ノーコード化」でTerraformのターゲットを拡大

 今回発表されたノーコードプロビジョニングワークフローは、こうした進化の延長にあるものだ。

 披露されたデモでは、AWSで稼働するWebサーバーのブループリントを選択してプロビジョニングボタンを押すと、あとは本番環境か開発環境かといった質問に答えていくだけで、ワークスペースが作成されて自動的にプロビジョニングが実行された。HCL(HashiCorp Configuration Language)でクエリを書いたり、repoを作成したり、Terraformを起動したりする必要はなく、「プロビジョニング中に何が起きているのかも理解する必要はない」と語る。

ノーコードプロビジョニングワークフローのデモ画面より

 HashiCorpの調査によると、マルチクラウド導入の阻害要因として最も多く挙がった回答は「スキル不足」(41%)だったという。ダドガー氏は、これまでのようにTerraformやIaCへの知見を持つ運用担当や開発者だけでなく、クラウドインフラを扱い始めたばかりの担当者、簡単にインフラへアクセスしたい開発チーム、複雑なことを学ぶことなくインフラを扱いたいと考える非開発者などに、ターゲットを拡大することができると説明した。

「UI主導のノーコードプロビジョニング(左)が新たに加わることで、Terraformのターゲットユーザーを拡大する」とダドガー氏は説明した

 ノーコードプロビジョニングワークフローはパブリックベータ段階にあり、「Terraform Cloud Business」向けに同日提供を開始した。Terraform Enterpriseでも間もなく提供を開始する予定だ。

 Terraformの新機能としてはこのほかにも、ドリフト検出をさらに強化する「Continious Validation」、Terraform Cloud向けのマネージドポリシーエージェント「Open Policy Agent(OPA)」なども発表した(共にベータ)。あわせて「Terraform 1.3」がGAになったことも発表している。

 Terraformに加え、アプリケーションの導入・管理のワークフローオーケストレーションを行うNomadの最新版「Nomad 1.4」がGAになったこと、アプリケーションのビルド/デプロイ/リリースライフサイクルをコードで定義できる「Waypoint」クラウド版「HCP Waypoint」もパブリックベータとして発表している。

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