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最新パーツ性能チェック 第383回

動画エンコードもRTX 3090 Tiの半分に!? 内なる平穏を得られる最強GPU

DLSS 3でGeForce RTX 4090の真の実力を開放!4K+レイトレ最高画質で120fpsを実現

2022年10月12日 13時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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驚異的なDLSS Frame Generationのパフォーマンス

 まずは「F1 22」で検証する。画質“超高”をベースにレイトレーシングのクオリティーも最高に設定。異方性フィルタリングはx16、アンチエイリアスは“TAA+FidelityFX”とした。DLSS Super Resolutionの設定はどのGPUも“パフォーマンス”を選択。ゲーム内ベンチマーク(条件は“モナコ”+“ウエット”)再生中のフレームレートを計測している。なお、以降のグラフ内ではDLSS Super ResolutionをDLSS SR、DLSS Frame GenerationをDLSS FGと表記する。

F1 22:3840×2160ドット時のフレームレート。RX 6950 XTはDLSS非対応なので除外した

 まず、DLSS Super Resolutionによって、どのGPUでもフレームレートが2倍以上に伸びている。ベースの処理性能が高いRTX 4090 FEでは、DLSS Super Resolutionだけでも平均144fpsを超えている。しかし、最低フレームレートは90fpsまで下がるため、動体視力の良い人ならカクつきが感じられるかもしれない。

 そして、DLSS Frame Generationを有効にると、DLSS無効の状態からは2.7倍弱、DLSS Super Resolutionからは1.3倍以上のフレームレート向上を達成。これなら、144Hz駆動の4Kディスプレーのポテンシャルをフルに引き出しつつ、最高の画質でゲームが堪能できるだろう。

 続いては「Cyberpunk 2077」だ。ここでもDLSS Frame Generationが実装されたβビルドを使用している。画質は“レイトレーシング:ウルトラ”をベースに、レイトレーシングの反射クオリティーを一番重い“サイコ”に設定。DLSS Super Resolutionの設定はパフォーマンス設定とした。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測している。

Cyberpunk 2077:3840×2160ドット時のフレームレート

 パワフルなRTX 4090 FEといえど、Cyberpunk 2077のレイトレーシング最高設定をDLSS Super Resolution抜きで滑らかに表示するのは厳しい(ましてや解像度は4Kだ)。しかし、DLSS Super Resolutionを活用すれば60fpsキープが可能に。さらにDLSS Frame Generationも有効にすることで、120fpsプレイも視野に入れることができる。

 DLSS Frame Generation利用時は、AIによる推論が生み出したアーティファクトも描画されてしまうが、120fpsなら1フレームはわずか8.33ミリ秒で次フレームに移るため、目を凝らしても認識することは難しい。DLSS Frame Generationは超重量ゲームを一気にプレイアブルにする夢のある技術といえるだろう。

 DLSS Frame Generation最後の検証は「Microsoft Flight Simulator」だ。こちらもβビルドでの検証となる。APIはDirectX 12、画質は“ULTRA”、アンチエイリアスは“TAA”もしくはDLSS Super Resolutionの“パフォーマンス”に設定した。ランディングチャレンジ“シドニー”で一定時間飛行した時のフレームレートを計測。カメラは常時機外後方に固定している。

Microsoft Flight Simulator:DirectX 12 API、3840×2160ドット時のフレームレート

 Microsoft Flight Simulatorでは単なるDLSS Super Resolutionの効果はほとんど観測できなかった。βビルドの制約なのか、こちらの設定ミスかは不明だが、DLSS Super Resolutionだけでは大きなフレームレート向上は見られない。

 しかし、RTX 4090 FEでDLSS Frame Generationを有効にした途端、フレームレートが約2倍に上昇。描画の滑らかさが格段に向上した。このゲームのプレイ体験を極大化したいなら、RTX 4090 FEはぜひとも欲しいGPUといえるだろう。DLSS Frame Generation対応パッチが楽しみだ。

 ここで、前回と同様にベンチマーク中のGPU Powerと、GPU Power 10Wあたりの平均フレームレート(ワットパフォーマンス)を見てみよう。DLSSでTensorコアやオプティカルフローアクセラレーターを動かした際に、消費電力は上がるのか? 下がるのか? 調べてみる価値は十分にある。

前掲のベンチマーク計測時にCapFrameXで観測されたGPU Power。上段が最大値、下段が平均値を示す

 DLSSを使わない時を基準とした場合、DLSS Super Resolutionを使うと消費電力が増えるケースと減るケースが混じっていることがわかる。RTX 4090 FEとRTX 3090 Tiでは、どのゲームでもDLSS Super Resolutionは消費電力減方向に動いているが、RTX 3090 FEではCyberpunk 2077やF1 22では消費電力増、Microsoft Flight Simulatorでは消費電力減となる。Microsoft Flight Simulatorだけが消費電力減なのは、このゲームでDLSS Super Resolutionを使ってもフレームレートが上がらなかった事に関連していると考えられる。

 Microsoft Flight SimulatorのDLSS Frame Generationは、DLSS Super Resolutionに比してGPUの消費電力が70W近く増えているが、これも同じ理屈だと考えられる。DLSS Super Resolutionで描画負荷を軽くしても、CPUから新たな描画指令が来ないため、結果としてGPU負荷は下がる(=消費電力減)が、DLSS Frame Generationで新たなフレームを生成するのに必要な負荷のぶんだけ消費電力が上昇したのだろう。もしMicrosoft Flight SimulatorのDLSS Super Resolutionが上手く機能していたら、RTX 4090 FEのGPU Powerは273W近辺に上がるはずだ。

同じく10Wあたりの平均フレームレート比較。前掲の表の平均値と、対応する平均フレームレートを利用して算出

 また、ワットパフォーマンスを見ると、DLSSによって著しく改善する効果が得られることは明らかだ。特に負荷の高いCyberpunk 2077では、DLSS Super Resolutionを有効化するだけでも劇的な効率改善が期待できるだろう。DLSS Frame Generationもワットパフォーマンスを向上させる傾向に変わりはないが、F1 22のようにわずかに低下することもあるようだ。

各ゲームのベンチマーク中のVRAM使用量の最大値をまとめた表

 DLSSが消費電力減に繋がることがわかったら、VRAM消費量も変化するかチェックしておきたい。上の表に示した通り、DLSS Super Resolutionを有効化することによりVRAM使用量が減り、そこからDLSS Frame Generationを追加するとやや増える。無論、すべてのDLSS対応ゲームで同じ傾向になるとは言えないが、GPU稼働時のリソースを考える上で、DLSSは有効な手段にはなりそうだ。

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