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アルバトロス・テクノロジー、低コスト浮体式洋上風車の小型海上実験開始へ

ウインドファーム想像図。風が吹く方向に風車が20度まで傾く。平均風速下程度ではほぼ直立となる

 浮体式洋上風車(垂直軸型)の開発を進める株式会社アルバトロス・テクノロジーは2022年9月14日、株式会社ジェネシア・ベンチャーズから総額1億円の資金調達を行い、浮体式洋上風車の小型海上実験の準備を開始した。コスト削減による再生可能エネルギーの普及や、純国産化による産業創造などを目指す。

 気候変動対策やSDGsなどの観点から洋上風力発電の重要性は高まっている。日本では遠浅の海域が少なく、沖合に風車を設置するには着床式ではなく浮体式が主力となる。しかし、超大型台風に耐える浮体のコストが課題となっている。アルバトロス・テクノロジーが開発する浮遊軸型風車(Floating Axis Wind Turbine:FAWT、ファウト)は、「回転する」円筒浮体で垂直軸型風車を支える。基礎を置く地面や海底が必要なく、クレーンを使わずに組立、海上設置ができる。風車部分は、カーボン複合材料の連続引抜き成形により低コストで製造可能。発電機も含めてすべて国内調達できる。

浮体も回転する浮遊軸型風車(FAWT) 

 従来の風車は重量のある発電機を高い位置に置くため、頑丈なタワーと巨大な浮体を必要としていた。「FAWT」の垂直軸の風車は重い発電機を下に置くため全体が軽く、浮体を小さくできる。また、海水を風車の軸受とする構造で、傾斜しても性能が低下しにくい特性で、最大出力時に風が吹く方向に20度傾くことを許容する。どの方向からの風でもエネルギーへと変換し、風車直径10メートル以上の大きさであれば、性能は従来型の水平軸型風車と同等以上になる。

 最初の海上でのデモでは、出力20キロワット未満の小型実験機を製作して港内に設置する。解析、設計手法を確認した後、大型機の海上実証プロジェクトにつなげる予定だ。将来的に商用機のプロバイダーとして風力発電事業者らと提携し、国内外の洋上風力入札への参加を見込む。

浮遊軸型風車のディスプレイモデル

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