RTX 3060 Tiと同等もしくはそれ以上の性能
2560×1440ドットで快適なゲームプレイを実現
それでは、RD-RX6700-E10GB/DFのパフォーマンスを見ていこう。今回、比較対象には競合製品になり得る「GeForce RTX 3060 Ti」(以下、RTX 3060 Ti)を用意。グラフィックスドライバには。テスト時に最新バージョンとなる「AMD Software Adrenalin 22.8.1」を使用。そのほかのテスト環境は表のとおり。
テスト環境 | |
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CPU | AMD「Ryzen 9 5950X」(16コア/32スレッド、最大4.9GHz) |
マザーボード | ASRock「X570 Taichi」(AMD X570) |
メモリー | DDR4-3200 8GB×2 |
ビデオカード | 玄人志向「RD-RX6700-E10GB/DF」(Radeon RX 6700)、GeForce RTX 3060 Ti Founders Edition |
ストレージ | Plextor「PX-512M9PeG」(M.2、NVMe、512GB SSD) |
電源ユニット | SilverStone「SST-ST1200-G Evolution」(1200W、80PLUS Gold) |
OS | Windows 10 Pro |
まずは、定番ベンチマークツールの「3DMark」(Version 2.22.7359)の総合スコアから見ていこう。「Fire Strike」では、Fire Strike“無印”こそ、RD-RX6700-E10GB/DFはRTX 3060 Tiを上回っているものの、Fire Stike ExtremeやFire Strike Ultraでは逆転を許してしまっている。しかも、テスト解像度が高くなるにつれて、両者の差が開く傾向が見られる。一方、DirectX 12のテストとなる「Time Spy」では、RD-RX6700-E10GB/DFはRTX 3060 Tiに4~9%ほど差を付けられてしまった。
もともと、RTX 3060 Tiを始めとしたNVIDIAのAmpere世代のGPUは、Time Spyで高いスコアを発揮する傾向があり、その例に漏れず、RTX 3060 TiがRD-RX6700-E10GB/DFを引き離したということなのだろう。
では実際のゲームではどうなのか、「バイオハザード ヴィレッジ」の結果を見てみよう。ここではグラフィックス自動設定から描画負荷が最大となる「限界突破」を選択。そのうえで、ゲームをプレイし、その間のフレームレートを「CapFrameX」(Version 1.6.8)で取得した。
その結果だが、RD-RX6700-E10GB/DFは、RTX 3060 Tiに平均フレームレートで4~15%ほど溝を空けられてしまっている。高解像度になるにつれて両者の差が広がるのは3DMarkと同じ傾向だが、やはり3840×2160ドットは、RD-RX6700-E10GB/DFにとって荷が大き過ぎるようだ。とはいえ、RD-RX6700-E10GB/DFは、2560×1440ドットでも1パーセンタイルフレームレートは90fpsを超えており、1920×1080ドットでは140fps弱にまで達しており、これらの解像度であれば快適なゲームプレイを実現している。
続いて「Call of Duty: Warzone」では、オプションから描画負荷が最大となるように設定してゲームをプレイし、その間のフレームレートを先ほど同じくCapFrameXで計測している。
ここでは、RD-RX6700-E10GB/DFが好調で、平均フレームレートではRTX 3060 Tiに1~14%、1パーセンタイルフレームレートでも最大で5%ほどの差を付けた。とくに1920×1080ドットでは、RD-RX6700-E10GB/DFは平均フレームレートで200fps以上のパフォーマンスを発揮しており、RTX 3060 Tiに格の違いを見せ付けている。
さらに「Far Cry 6」では「最高」プリセットを適用したうえで、ゲーム付属のベンチマークモードを実行。その結果から、平均フレームレートと最小フレームレートを抜き出してみた。
すると、RD-RX6700-E10GB/DFは平均フレームレートではRTX 3060 Tiと肩を並べるものの、3840×2160ドットで17%もの差を付けている点は評価できよう。最小フレームレートでも、RD-RX6700-E10GB/DFはRTX 3060 Tiと近い結果を残しているが、平均フレームレートと同様にRTX 3060 Tiに約38%もの大差を付けている点は見どころと言えよう。ただ、快適にゲームをプレイできるのは、この結果から2560×1440ドット以下の解像度と言えそうだ。
最後に「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」の結果も確認しておこう。ここでは「最高品質」に指定してベンチマークを実行しているが、RD-RX6700-E10GB/DFはRTX 3060 Tiに10~31%も引き離されてしまっている。
これは、同ベンチマークがゲーム本編と合わせてGeForceシリーズの最適化が進んでいるためなのだが、スクウェア・エニックスの指標ではスコア1万5000以上が最高評価とされており、RD-RX6700-E10GB/DFは2560×1440ドットでそれを満たしている点は評価できよう。RD-RX6700-E10GB/DFでも、2560×1440ドット以下の解像度であれば、最高品質でもファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレを快適にプレイできそうだ。
価格は実売で6万6000円~7万3000円
LEDを搭載しないシンプルさが逆に魅力
以上のテスト結果からも明らかなとおり、RD-RX6700-E10GB/DFのゲームパフォーマンスはRTX 3060 Tiと同等以上と言っていいだろう。さすがに3840×2160ドットは荷が重過ぎるのは否めないものの、2560×1440ドット以下の解像度であれば、ほとんどのゲームが快適にプレイできるだろう。
RD-RX6700-E10GB/DFはミドルレンジ向けの中でもエントリーに近いセグメントに置かれる製品だけも、イルミネーションなども用意されず、シンプルな製品だ。だが、そういったイルミネーションを不要と考えるユーザーも一定数いるほか、落ち着いたカードを求める人も多い。
そういった需要に対して、このRD-RX6700-E10GB/DFは、かなり魅力的な存在であることは間違いない。RD-RX6700-E10GB/DFの価格も実売で6万6000円~7万3000円と、RTX 3060 Ti搭載モデルが6万5000円~7万6000円で販売されているのに比べるとお買い得感はかなり高い。サイズも手ごろで扱いやすく、シンプルなカードを求めているのであれば、このRD-RX6700-E10GB/DFは一考の価値アリだ。