簡単そうに見えた顔認証購入に
意外な落とし穴があった
ベルリンで開催中のIFA2022に向かう途中、イタリア・ローマに立ち寄りました。といってもトランジットで1泊なので、夕方について翌朝発と滞在時間はわずか。ですが、6月にミラノに行ったときも駅で手軽にプリペイドSIMが買え、しかも5Gにもつながったので、今回もローマの駅でプリペイドSIMを買ってみました。
空港からバスや鉄道で到着するミラノのテルミニ駅は、通信キャリアのお店がすべてあるので、SIMの購入も簡単です。ボーダフォンの店があったので旅行者用のプリペイドSIMが買いたいというと「20ユーロでイタリア50GB、EU10GB」とのこと。パスポートの提示は必要ですがすぐに買えました。このあとドイツに行くのでEU10GBはドイツで5Gをテストするのに使おうと思います。実は筆者もahamo回線を海外に持ち出し、20GBをそのまま海外で使っています。もう現地でプリペイドSIMを買う必要性は薄れているのですが、ドコモの国際ローミングでは対応した国以外で5Gが使えません。5Gのために今回もこうしてプリペイドSIMを買ったのです。
テルミニ駅はほかにもイタリア最大キャリアの「TIM」、3位4位が合併した「Windtre」(旧「Wind」と「3(Tre)」)の店もあります。1階のフロアだけではなく、地下にも3社があるので旅行者がプリペイドSIMを買うのに優しい駅です。
さてボーダフォンのSIMを買ってこれでOKと思ったのですが、テルミニ駅の改札を抜けた先のコンコースにいろいろなお店がありました。そのうちの1つは通信キャリアのようです。というのも、表にあるデジタルサイネージに「150GB」「9.98ユーロ」などと書いてあるからです。お店の名前はiliad、これがキャリア名のようです。
このiliadは2018年に参入したキャリア。新しいため4Gと5Gネットワークしかなく、2G、3Gは使えません。ユーザー獲得のため格安料金で勝負しているようですが、それだけではなく運営コストも下げているようです。ブースの中は無人でユーザー登録できる機械が置いてあり、プリペイドSIMも自動で発行してくれるのです。つまりショップで対応するスタッフやPCなどもなくし、端末だけで本人認証からSIM発行までできる機械が導入されているのです。
これは面白そうなので試すことにしました。自分の名前やメールアドレスを入力するほか、パスポートをマシンでスキャンして本人確認証明書も送ることができます。こちらが外国人ということでスタッフが横に付き添ってくれましたが、それほどわかりにくいものではなかったので1人でもなんとかできそう、とその時は思っていました。
最終確認画面では、自分の顔写真を撮影。特に難しくありません。ところが最大の難関が次に待っていたのです。それは端末に向かって「io sona (登録した名前) e scelgo iliado」と言わなくてはなりません。「私は(登録した名前)です。iliadを選びます」というイタリア語。これはパスポートのコピーとその人の写真を使って、偽の身分証明書として登録することを防ぐためなのでしょう。
これが意外と苦労しました。というのもiliadの発音を「iliado」「iliadu」みたいにすると認識してくれず、きちんと「d」で終わらせないと認証されないのです。横にいたスタッフの人も「どうしてこの人言えないのかしら」と思ったようで、「ゆっくりね」「ド、じゃないよ」とか声をかけて応援してくれます。結局5回やってなんとか通ったのですが、こんな簡単な単語でひっかかるとは思いもよりませんでした。認証が通ると端末の下のスリットからSIMカードが出てきます。
端末の言語はイタリア語でしたが、これはスタッフが一緒だったからそう設定したのかもしれません。もしかしたら最初の画面で英語が選べたのかも……。そして、その場合はこの合い言葉も英語だったのでは? いずれにせよ、iliadの発音でうまくいかなかったかもしれませんが。
なお金額は9.98ユーロなのですが、支払いは19.98ユーロ。実は新規登録手数料が10ユーロ別途必要だったのです。それ最初に言ってくれよと思いましたが、面白い体験ができたからヨシとにしましょう。5Gスマートフォンに入れて無事5Gも利用できました。
ドコモなど日本のキャリアが海外での5Gローミング先を広げてくれればこのような苦労はしないのですが、海外で5Gを使いたいときは、もうしばらく現地のプリペイドSIMを買う必要性がありそうです。
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