特殊詐欺防止に向けて
ソフトバンクが警察と手を組んだ
ソフトバンクは今日16日、神奈川県、神奈川県警察と、特殊詐欺をはじめとする各種犯罪の未然防止に向けて「地域安全に関する協定」と締結、同日にはその締結式が実施された。
この協定に基づいて実施される主な取り組みの1つは、神奈川県のソフトバンクショップ、ワイモバイルショップで特殊詐欺などを防止するための対策を説明する「迷惑電話防止対策教室」の実施。そしてもう1つはソフトバンクと神奈川県警察が共同でチラシを作成、配布することだ。
双方の取り組みでは、いずれも固定電話を携帯電話回線で代替するソフトバンクの「おうちのでんわ」と、ワイモバイルの「かんたんスマホ2+」を組み合わせて特殊詐欺を防止する仕組みを伝えていくとのこと。具体的には固定電話の回線をおうちのでんわに変え、おうちのでんわから、迷惑電話対策機能が標準で備わっているかんたんスマホ2+に電話を転送。そちらで電話を受けるようにすることにより、手間やコストをかけることなく迷惑電話対策ができることをアピールしていくとのことだ。
ちなみに、ソフトバンクが特殊詐欺防止に向けて特定の自治体と協定を結ぶのは、今回が初めてとのこと。そのきっかけとなったのも神奈川県警察が特殊詐欺対策に非常に熱心であり、上記の仕組みを利用することで、高齢者が最も懸念するコスト負担をなくして特殊詐欺対策ができる、という話が神奈川県警察側から持ちかけられたためだという。
なお締結式にはソフトバンクと神奈川県、神奈川県警察の代表者が登壇し、今回の協定に関する取り組みの目的や意欲などについて説明。ソフトバンクのCSR本部長の池田昌人氏は、同社がSDGsの推進に取り組み、より多くの人と情報がつながり楽しく新しい情報提供を推進したい思いがあるとする一方、“つながる”ことで特殊詐欺の被害に遭ってしまう人が出てきてしまうことを懸念していたという。
特殊詐欺は電話があってこその詐欺
だからこそ通信キャリアのソフトバンクも全面協力
そして被害に遭ってしまうのには、特殊詐欺のターゲットとなりやすい高齢者に「自分だけは引っ掛からない」という思いがあるためだと池田氏は説明。ソフトバンクが提供するサービスをセットで提供することで、詐欺につながる迷惑電話を機械的に防止しながら楽しく情報やコミュニティとの接点を持って欲しいと池田氏は話している。
また神奈川県のくらし安全局 くらし安全防災局長である佐川範久氏は、神奈川県としても「神奈川県犯罪のない安全・安心まちづくり推進条例」を平成17年に施行し、2021年の犯罪件数は過去最悪とされる平成10年と比べ5分の1に減少した一方で、高齢者を狙う特殊詐欺は増加傾向にあり「非常に憂慮すべき状況」だと話す。
その原因は被害者と犯人が電話で話してしまうためだと佐川氏は説明。今回の協定によりソフトバンクと迷惑電話を防止する取り組みを広めることが「犯人と電話をしない、させない観点から非常に効果があると大いに期待している」と話している。
神奈川県警察本部の生活安全部 生活安全部長である則次誠二郎氏も「特殊詐欺は電話がなければ成立しない犯罪」と話し、これまでにも迷惑電話対策機能付き電話や留守番電話機能付き電話の普及を進めてきたという。ただ高齢者は留守番電話を設定していても、電話に出てしまう傾向にあると則次氏は話す。
そして一度犯人からの電話に出てしまえば「犯人の思うつぼで、優しい言葉で巧みにだまされてしまう。絶対引っ掛からない思っても引っ掛かってしまう」(則次氏)ことから、特殊詐欺が子供や孫などとの関係を利用した「卑劣な犯罪」であると強く批判。今回の協定により、ソフトバンクのサービスを活用して固定電話、携帯電話ともに迷惑電話をブロックする機能を普及させることで「この犯罪がなくなると確信している」と、強い期待を寄せていた。
またソフトバンクでは、神奈川県警察監修の下で特殊詐欺被害防止のための「Pepper」向けコンテンツを開発、2023年以降に神奈川県の警察署などで、Pepperを活用した防犯講和が実施されるとのこと。そうしたことから会場にはPepperも登場、神奈川県警察に教えてもらったという「私たちはダマされません!」というフレーズを訴えて特殊詐欺撲滅に向けた活動をしていくことを訴えていた。