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「今後も独立性を維持、戦略も製品も変わらず」日本メディアの共同インタビューで説明

VMware CEOのラグラム氏、Broadcomによる買収で「次の成長レベルを目指す」

2022年07月29日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 米VMware CEOのラグー・ラグラム氏が2022年7月28日、日本メディアの共同インタビューに応じ、5月に発表されたBroadcomによる買収の進捗について説明した。ラグラム氏が日本のメディアに対して、Broadcomの買収に関してコメントしたのは今回が初めて。

VMware CEOのラグー・ラグラム(Raghu Raghuram)氏

 Broadcomでは2022年5月26日(米国時間)、VMwareを約610億ドルで買収することで合意したことを発表していた。現在は規制当局の承認を得るための手続きが進行中で、Brodadcomの2023会計年度(2022年11月~2023年10月期)中には買収が完了する見込みとしている。

 ラグラム氏は、Broadcomは買収によって成長を遂げてきた会社であり、同時にエンジニアリングイノベーションを追求してきた企業でもあると説明。2019年以降、Symantec EnterpriseやCA Technologiesといったソフトウェア企業を買収しており、新たにVMwareを買収することで、ソフトウェアビジネスを“VMwareブランド”の下に統合、展開しようと考えていると語る。

 「(Broadcomは)VMwareが持つエンジニアリングイノベーションと製品ポートフォリオが欲しいと考えており、市場でのポジショニングや顧客からの信頼性についても評価している。この買収が完了すれば、VMwareプラットフォームがBroadcomのなかで展開され、その拡大に向けた努力が続けられることになり、同時に研究開発(R&D)投資も継続することになる」(ラグラム氏)

 ただしラグラム氏は、VMwareとSymantecやCA Technologiesとは、事業規模や製品の幅、顧客基盤、スコープなどの点で性格が異なるという点も強調した。

買収発表の概要。「世界をリードするインフラテクノロジー企業の一社を作る」と宣言

 それでは、VMwareとして今回の買収をどう見ているのか。ラグラム氏は、VMwareの視点で見れば「Broadcomは良きパートナーになりうる会社」であり、買収によってVMwareが「次の成長レベルを目指すことができるようになる」と語る。

 「われわれのお客様はより幅広いソリューションを求めており、複雑な問題を解決したいと思っている。VMwareはこれからもロードマップを実現することができ、VMwareのお客様に対して、インフラの課題に対応するためのソリューションの選択肢を提供できる」

 その一方で、買収後もVMwareとしての独立性は維持し、戦略や製品ラインアップについても「これまでと変わらない」と強調した。「お客様とのエンゲージメントも変わらない。VMwareは今後もマルチクラウドの方向性を追求して、プロダクトを強化し、サービスを提供していく」。

 現在は、VMware製品の方向性や、どんな顧客が利用しているのかといったことについて、Broadcomが本格的に理解を深めている段階だという。「買収が完了した時点で、Broadcomが、VMwareの将来や製品の将来について具体的に語ることになるだろう」と述べた。

 買収発表に対する周囲の反応はどうか。ラグラム氏は、Dell Technologiesの会長兼CEOであり、VMwareの取締役会会長であるマイケル・デル氏は「今回の買収は株主の利益になるものと考えており、前向きに見ている」と語った。ラグラム氏自身も「上場企業として、株主をはじめとしたすべてのステークホルダーの利益に貢献することが鍵になる」として、株主利益を考えて最適な判断をしたと考えていると語る。

 「(買収発表の)当初は驚きや懸念があったかもしれないが、買収が発表されてから2カ月が経過し、多くのお客様とやりとりをすると、前向きな声が圧倒的大多数だ。(BroadcomとVMwareの)2社が一緒になって前進していくものと捉えられている。これまでEMCやDellといった大企業の傘下に入っても(変わらず)取引をしてきた経緯があり、これからも取引をしたいという声が上がっている」

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