次のIoTの姿が見える!SORACOM Discovery 2022レポート
Luupや三菱重工が感じたプラットフォームのメリット
プラットフォームの必要性と価値とは? ソラコム安川CTO、深く掘り下げる
なぜプラットフォームを使うべきなのか? Luup CTOかく語れり
続いて、安川氏はIoTプラットフォームであるSORACOMを活用しているユーザーとして、Luup CTOの岡田 直道氏をゲストに招き入れる。
Luupは電動キックボードや電動アシスト自転車などの「電動マイクロモビリティ」のシェアリングサービス「LUUP(ループ)」を展開している。電動マイクロモビリティをスマホアプリから借り、最寄りのポートでピックアップし、好きなところで返せるというサービスだ。電動マイクロモビリティを広範囲・高密度に普及させることで、移動の不自由を減らし、「街じゅうを『駅前化』するインフラをつくる」というのがLuupのミッション。岡田氏は、創業以来ソフトウェアエンジニア組織の開発やLUUPアプリケーションの開発、社内システムの整備を担当。創業当初はハードウェア開発や技術全般にも携わっていたとのことだ。
Luupは2018年の創業以来、電動キックボードという新しい乗りものを普及させるべく、単にサービスを開発するのみにとどまらず、関係省庁や自治体との協議を進め、規制の適正化に務めてきた。2020年5月からは電動アシスト自転車、2021年5月からは新事業特例制度の認可を受けて、電動キックボードのシェアリングサービスを開始している。当初50箇所だったポートだが、現在は1300箇所以上に拡大しているという。
Luupのシステムは、モビリティ車載のIoTデバイスからSORACOMのSIMを介して、デバイス制御用のAPIサーバーとアプリケーションサーバーにつながっている。SORACOM IoT SIM採用を決めたのは、やはり小さく低コストでプロダクト開発を始め、高速に拡大することが可能だったからだという。
具体的にはSIMの通信状態を確認したり、疎通確認したり、障害時の問題を切り分けられるのにコンソールを活用。また、自社システムとAPIとの統合も大きかった。いったん切れたセッションのつなぎ直しをAPI経由でできるため、オペレーションの負荷は大幅に軽減。急速に事業が拡大し、システムやインフラの要件が変わっていく中、変化に対応しやすいIoT基盤を構築できたという。「LUUPの車体は街中に散乱しているので、手動のオペレーションだと1台1台改修しなければならないが、SORACOMを使えば遠隔で行なえる。夜中に一斉にアップデートみたいなことが工数を低くできる」(岡田氏)。
SORACOM Beamに関しては、MQTTとMQTTSの変換、接続先の設定や暗号化などの処理をオフロードしている。これにより、乗車中のユーザーを危険にさらす不正アクセスを防いだり、証明書や認証情報をやりとりを省略することで、通信量を削減することが可能になったという。また、SIMのグループ化することで接続先を切り替えるのも容易に行なえるという。電動マイクロモビリティは、法整備や特例制度の規定により、要件が細かく変わる可能性があるため、車体の環境を遠隔で切り替え、検証できる環境は必須だという。
グローバル向けのIoT SIMのメリットも披露された。現在、Luupは海外の提携工場においてODMで車体とIoTデバイスの生産を行なっているが、事業を迅速に立ち上げるためには短期間でハードウェアとソフトウェアの開発を進める必要があった。その点、グローバル対応のSORACOM Air for セルラーでは海外の工場側でデバイスへの組み込み動作を確認できた。「海外工場でSORACOMでハードウェアの疎通を進めつつ、日本ではソフトウェアの開発を行なえたので、難易度の高いプロジェクトを短期間に実現できた」と岡田氏は語った。
なぜプラットフォームを使うべきなのか? Luupの事例を聞いた安川氏は、改めて「イノベーションの種を速く、大きく育てるため」と指摘しつつ、「Time to Market」という理由を掲げた。
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