次のIoTの姿が見える!SORACOM Discovery 2022レポート

Luupや三菱重工が感じたプラットフォームのメリット

プラットフォームの必要性と価値とは? ソラコム安川CTO、深く掘り下げる

大谷イビサ 編集●ASCII

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プラットフォーム選びに思想や文化は必要か?

 続いてテーマにしたのは、どのようなプラットフォームを使うべきなのか? ソラコムの答えは、「顧客視点で課題を見極め、継続的に進化するプラットフォームを使うべき」というものだ。安川氏は、聴衆に対して「プラットフォームやSaaSを選ぶときに、(技術面だけではなく)その裏にある思想や文化って評価されますか?」と問いかける。

プラットフォーム選びに技術面ではなく、思想や文化を評価するか?

 ソラコムは従業員が自ら動くときの原則である「Leadership Statement」を定めており、その一番最初には「Customer Centric」が定められている。顧客の実現したいことやフィードバックを聞き、プラットフォームをどうやって役立てるかを考え、まずは最小限の機能を実装し、その後プライベートβやリミテッドプレビューとして公開していくというサイクルだ。

 実際、SORACOM FunnelやSORACOM Funkといったクラウド連携サービス、SORACOM Harvestのような可視化サービス、ダッシュボードを作れるSORACOM Lagoon、SORACOM Orbitのようなデータ変換サービスなどはユーザーの声を受けて構築されてきた。

 一方で、「顧客視点で直面した課題を技術イノベーションを持って解決すること」と「顧客が要望した機能を追加すること」は必ずしも一致しない。これに関連するLeadership Statementとしては、「Respectfully Disagree,and Commit once agreed」が挙げられる。これは「敬意を持って異議を唱え、皆のために意見を言った上で、チームの最終的な決定には従う」という意味だ。

「Respectfully Disagree,and Commit once agreed」

 これを適用したのが、SORACOM Airのローンチ後に多かった「デバイスに固定グローバルアドレスを割り当てて欲しい」という要望だという。グローバルアドレスを固定で割り当てれば、ユーザー側から直接デバイスにアクセスできて便利だが、悪意のあるユーザーにも同じことができてしまう。SORACOMのネットワークポリシーは、外部からデバイスへの直接通信は遮断するというポリシーになっているため、ユーザーからもアクセスできない。そのため、前述したLeadership Statementからすると「ご要望にはお応えできかねます」という返答を返さなければならない。

 しかし、この課題もデバイスとユーザー側のサーバーだけが通信できるネットワークを構築できれば解決する。これを実現したのが、デバイスの所属したLANとSORACOMとセキュアな通信でつながったユーザー側のシステムが仮想的に接続され、プライベートアドレスで双方向通信できるSORACOM Gateになる。さらにSORACOM Napterも追加され、ダイナミックにアドレスとポートを開放し、デバイスにリモートログインできるようになった。ユーザーの声にも応えつつ、ポリシーも守ったわけだ。

デバイスとユーザー側のサーバーとを通信できるネットワークを構築

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