次のIoTの姿が見える!SORACOM Discovery 2022レポート
Luupや三菱重工が感じたプラットフォームのメリット
プラットフォームの必要性と価値とは? ソラコム安川CTO、深く掘り下げる
ソラコムの年次カンファレンス「SORACOM Discovery 2022」の2日目となる2022年7月7日。基調講演に登壇した安川健太CTOは「プラットフォーム」の存在価値や価値、SOARCOMのサービスの強みや先見性を深く掘り下げる。
自らのキャリアで実体験してきたプラットフォームのメリット
日本で産まれ、世界へ飛び立ったSORACOM。世界中のヒトとモノをつなぐプラットフォームへと進化しており、いくつかのマイルストーンを達成してきた。接続回線は400万回線を突破し、大企業やスタートアップ、グローバル、SMBなどユーザー企業も2万を超えた。また、パートナープログラムである「SORACOM Partner Space」もいよいよ海外展開しており、北米・イギリスでは23社のパートナーを獲得している。
さて、安川氏が今回テーマに掲げたのは、ソラコムが提供する「プラットフォーム」だ。「プラットフォームとその役割」「なぜプラットフォームを使うべきなのか」「どんなプラットフォームを利用すべきなのか」「これからのプラットフォームには何が必要か?」という4つの疑問に答える形で話を進められた。
そもそもプラットフォームとは? 安川氏の定義は、「イノベーションの芽を大きく育てる土壌」で、その具体例は前職のAWSだ。「私もソリューションアーキテクトという立場で、多くのスタートアップが、すごい速度で世の中を変え、プラットフォームがイノベーションを支えるのを現場を見てきた」と安川氏は語る。
テレコム業界でのコネクテッドカーやコネクテッドホームの研究からキャリアをスタートさせた安川氏は、AWSで経験したこともあわせて「あらゆるシステムはクラウドというプラットフォームによって、よりよく実現できる」ということを実感した。「クラウドの技術とベストプラクティスを適用すると、どんなシステムもよりスケーラブルで、より信頼性が高く、よりビジネスを加速する原動力となる」(安川氏)という。
こう考えた安川氏は自身が所属していたテレコムのコアネットワークもクラウドで実現できるはずと考え、ソラコム創業者の玉川憲氏につぶやいた。そして玉川氏は「それを使って、世界中のヒトとモノをつなげるプラットフォームを創ろう」とメッセージを書き、それがソラコムのコンセプトとなった。
IoTの共通課題をプラットフォームで解決する
当初、ソラコムが展開していたのは、いわゆるMVNOだ。MVNOはキャリアのネットワークを借り、そこに専用線を引き込んで、自社の設備に引き込み、独自のブランドや販売網で通信サービスを提供するというサービス形態。しかし、ソラコムは独自の機材やデータセンターを利用することなく、システム自体をクラウド上で動作するソフトウェアとして構築した。これを実現するためのプラットフォームとなったのがAWSだ。「数ヶ月でMVNOとしての事業をスタートさせ、今では400万を超えるデバイスをつなぐプラットフォームに進化させることができた」と安川氏は語る。AWSにシステムを構築したソラコム自身が、プラットフォームのメリットを実感しているというわけだ。
なぜプラットフォームを使うべきなのか? これもソラコムがまさに実感していることとして、「イノベーションの種を速く、大きく育てるため」だという。「もちろん、全部で自分でやったほうが速いし、楽しいかも知れないが、いざ世の中のために実装しようと考えたら、考えなければならないことは数多くある」と安川氏。プラットフォームとそのツールを使えば、より速く大きくイノベーションを起こせるはずだという。
実際、ソラコムが取り組んでいるIoTは、数多くの共通課題が存在する。デバイスとインターネットの接続とセキュリティ、クラウド構築と連携、デバイスの制約や管理など。コネクテッドカーやコネクテッドホームを研究していた安川氏自身も、「デモは作れても、社会実装をするにはとても課題が多すぎる」と感じていた。そのため、SORACOMプラットフォームの構築においても、IoTの共通課題を解決することが大きな目的だったという。
最初に取り組んだのが、IoTにおける「つなぐ」という課題を解決するSORACOM Airだ。1枚からSIMを購入し、クラウドにつなぎ、回線はWebコンソールから管理できる。APIを使えば、操作は自動化できる。同時にクラウドとデバイスの溝を埋めるSORACOM Beamというサービスもリリースし、データ量を減らしたり、セキュリティを高めることがを可能にした。さらにSORACOM Beamではデバイスに触れずに、データ送信先を切り替えることもできる。「デバイスの専門家も、クラウドの専門家も、等しくIoTのシステム開発が楽しめる。そんなプラットフォームの進化の方向性を定めた、思い入れ深いサービス」と安川氏は振り返る。
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