日産GT-RやメルセデスAMG GT3から
ヤリス、デミオ、ロードスターが同時に走るスーパー耐久シリーズ
6月4日の15時にスタートし、翌5日の15時にチェッカーフラッグが振られる、現在日本で唯一の24時間レースが「ENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook 第2戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」です。
スーパー耐久シリーズとしての富士24時間レースはこの2022年で5回目となり、総合優勝トロフィーの5枚目のプレートにはどのチームの名前が刻まれるか興味が尽きません。
スーパー耐久シリーズはどんなレースかというと、上はSUPER GTなどでも活躍するFIA GT3マシンを使ったST-Xクラスから、1500ccクラスのトヨタ・ヤリスやマツダ・ロードスター、デミオなど街で見かけるクルマが争うST-5クラスまでの9クラスがあり、それぞれのクラスで3時間、5時間、そして24時間での周回数を競います。この9クラスのマシンが同じ時間に同じコースで混走するのは世界でもニュルブルクリンク24時間レースくらいのもので、かなり珍しいレースと言えます。
またチェッカーフラッグ至上主義とも言われ、残り30秒までトップを走っていたとしてもチェッカーフラッグをくぐらずにマシンが止まってしまえば、完走とはならずにリタイアとなってしまいます。とにかく何がなんでもチェッカーを受けて完走することが第一なのです。
富士24時間レースは大手の新聞社も取材に来る
スペシャルなレース
そんなスーパー耐久シリーズが昨年からにわかに脚光を浴びています。今年の富士24時間レースでは取材メディアが大手新聞社や経済誌、テレビのニュース番組やビジネス番組などを含めて100社も来場しました。
なぜこんなに多くのメディアが来場しているのかと言えば、カーボンニュートラルの選択肢としてトヨタがぶち上げた水素エンジンや、トヨタ、スバル、日産が使うガソリンの代替燃料として注目を浴びている「e-Fuel」などのカーボンニュートラル燃料(CNF)、そしてマツダが使う食用植物油の廃油とミドリムシ由来の炭化水素から精製されるバイオディーゼル燃料といった新しい燃料を使うレーシングマシンが参戦しているためです。
これらは研究開発用のクラス「ST-Q」に参戦しており、賞典外ではあるものの、たとえばCNFのGR86とSUBARU BRZは排気量換算などを揃えており、お互いにガチンコ勝負をしながら技術研鑽をしています。
このカーボンニュートラルの実験場としてスーパー耐久シリーズのST-Qクラスを活用することを提唱したのはトヨタ自動車の豊田章男社長。まず水素エンジンカローラ「ORC ROOKIE Corolla Sport H2 concept」を昨年の富士24時間レースから走らせると、徐々に協賛企業が名乗りを上げて集まり、賛同した自動車メーカーも昨年の最終戦岡山でのマツダ、今年の開幕戦からスバル、そして特に事前の賛同表明はなかったものの、富士24時間レースでは日産が新しいフェアレディZをCNF仕様で走らせるなどの輪が広がってきています。
その豊田章男社長、実はMORIZO選手として2019年ST-4クラスのトヨタ86、2020年ST-2クラスのGRヤリス、2021年からは水素エンジンカローラと、スーパー耐久には4年連続でフル参戦しています。特に2020年の富士24時間レースではGRヤリスでST-2クラス優勝、そしてST-2クラスの2020シリーズチャンピオンにも輝いています。
その他注目したいのは、グランツーリスモ世界チャンピオンだった冨林勇佑選手もドライブするST-3 クラスの39号車 エアバスターWINMAX RC350 55ガレージ。ASCII.jpのロゴも貼ってあり、密着記事も掲載されていますね(冨林勇佑「とても悔しい2位」念願の富士24時間レース優勝へは届かず)。
また初参戦から20年という長きにわたって参戦を続けてきたST-4クラスの全薬工業withTEAM G/MOTION'インテグラ。今年のシリーズで引退ということですが耐久レースという土俵であればワンチャンス、表彰台を狙える戦闘力を持っています。
富士24時間レースは、このようにバラエティに富んだ車種を含めて全9クラス56台で競われるのです。