最近、日常的に持ち歩いてるカメラはOM-1なのだけれども、これが大変おそろしいのは、連写性能が高いことなのである。
猫がじっとしてるときは、まあ普通である。そっと近づいて見つめ合って、猫瞳AFさんよろしくってんで、あとはいい案配に撮るべし。草むらにいる猫には、這いつくばってご挨拶。いい感じにキリっとしたハチワレがいたので、そっと前に回って這いつくばってみたのだ。猫が伏せてたので、こっちもギリギリの高さで、望遠で。
夜の撮影に強くなったのもうれしい。かなり暗い夜の公園でもちゃんと猫を認識してくれたし、高感度時の画質が上がったのはありがたい。
そして、AFが早くてレスポンスがいい。突然こっちに向かってきた猫にも、ちゃんと顔にピントが合って撮れるのだ。
夜の公園猫、ちょっと離れてレンズを向けてたら、いきなりこっちへ歩いてきたのである。ベンチの下という公園灯の光が届かない暗い場所でも、なんとかAFが仕事をしてくれて、そのまま撮り続けたら、ベンチの下から顔を出した瞬間まできっちり。
このように、猫に自動的にピントが合うし、AF-Cモードにしておけばこっちに歩いてくる猫にも追従してくれる。さらに、AF/AE追従の連写が速いのだ。電子シャッターにすると、超高速連写ができる。
となると、連写しちゃうじゃないですか。で、こっちに歩いてくる黒猫をとっさに連写しながら追いかけたら、大迫力の迫る黒猫が。
ただ、高速連写すると、当然撮影枚数が激増するのである。電子シャッターにしてると、シャッター音がないので予想以上にいっぱい撮ってたりして、それがおそろしい。SDカードの残量がどんどん減るのもおそろしいけど、帰宅して写真をパソコンに吸い上げてから、写真を選ぶのがまた大変。いっぱいありすぎて疲れる。
さらにおそろしいのが、プロキャプチャー機能。シャッターを半押しする(あるいはAFオンボタンを押す)と、そこから裏でこっそり超高速連写撮影を始め、シャッターを全部押しきると、押した瞬間の前後の写真を記録してくれるのだ。簡単にいえば、ほんのちょっと前の写真から記録してくれるので「あっ」と思ってからシャッターを押しても間に合うのである。プロキャプチャー機能は、どのくらいさかのぼって記録するかも設定できる。最大で50コマ分だ。
例えば、冒頭写真の猫。階段の端っこでゴロゴロし始めたのだけど、ときどき舌で鼻をペロッと舐める。よし、舐めた瞬間を撮ろうということでプロキャプチャーモードにするわけだ。そしてファインダーをのぞきながら、決定的瞬間を見てからシャッターを押せばOK。すごい時代だよね。
ただ、家に帰ってパソコンに吸い上げてから、その瞬間を探すのがさらに大変。「最大」に設定しちゃうと、シャッターを押した瞬間、その直前50コマ分を記録するからだ。シャッター1回で50枚。しばしばプロキャプチャーモードにしたまま戻すのを忘れちゃうため、じっとして動かない猫の写真が何十枚も記録されてたりするのだ。おそろしいでしょ(ほぼ「まんじゅうこわい」の世界だけど)。
ミラーレス一眼ならではの電子シャッターを使ったおそろしい連写機能は、今のところOMシリーズのハイエンドモデル、富士フイルムのX-T4や2022年7月発売のX-H2S、さらに、ニコンのZ 9が先日のファームウェアアップデートで新しく搭載した(プリキャプチャ機能)くらいだが、将来は、ミラーレス一眼の上位機種はみな搭載してくると思う。
この連載を始めたころから思うと、技術の進化っぷりに感服するばかりだ。猫AF+超高速連写+プリ連写(プリキャプチャ)の組み合わせがあれば、猫が塀から塀へ飛び移る瞬間なんかも撮れるようになる。いやまあそれ以前に、そういう瞬間に立ち会う必要があって、その難易度が高いのだけど、もし機会があればねらってみたいなあと思ってるのである。
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筆者紹介─荻窪 圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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