ロスレス対応サウンドバー「DHT-S217」が発売
サウンドバーの“いい音質”で“音楽鑑賞”を楽しむ。この発想を打ち立てた2019年発売のサウンドバー、デノン「DHT-S216」は、ランキングサイトや通販サイトでも常に出荷台数の上位に入る人気モデルとなった。
DHT-S216が人気となった理由はもうひとつ、手の出しやすい価格にもあったと思う。実売で2万円台中盤という比較的買いやすいラインに位置しながら、同社のサウンドマイスターである山内慎一氏によるチューニングが施されており、その音質に妥協はない。
だが、弱点もあった。ロスレス音源の再生には対応していなかったのだ。
2022年5月発売の後継機「DHT-S217」は、唯一と言ってもよかったこの弱点を解消。ロスレス音源に対応した新世代のサウンドバーである。
DHT-S217の対応フォーマット/コーデック
Dolby Atmos、Dolby TrueHD、Dolby Digital Plus、Dolby Digital、MPEG-2 AAC、MPEG-4 AAC、リニアPCM(最大7.1ch)、SBC(Bluetooth)
デザイン面では、フロント部のメッシュを従来のブラックからダークグレーのファブリックに変更するなど、一部で変更が見られるが、基本的な形状や筐体の設計はDHT-S216から大きく変えていない。一方で、SoCには、より上位のモデルとなるDHT-S517と同じものを採用し、余裕を持った信号の処理を可能にしている。すでに十分な完成度の高さを持っていたDHT-S216から、必要な部分のみをブラッシュアップした、純粋で真っ直ぐな後継機だ。
DHT-S216の評判のよさが気になりつつも、ロスレス非対応がネックとなって手を出せなかったユーザーにとって、いま最も注目すべき選択肢なのである。
「PUREモードに本格的に取り組んだ最初のモデルであるDHT-S216の後継となるDHT-S217では、サウンドも一歩進化させたいという意図がありました。
意識したポイントを手短に述べますと、音の純度を高め、ディテールもより見えやすくするというところです。これは、弊社のHi-Fiオーディオ製品と同様のアプローチといえます。この改善によって、リスナーにとってはより音楽の内部が見えやすくなり、同時に、音楽や音響の世界に没入できることにもつながっていきます。
このような状態にサウンドを届かせるには、多くの細かい試行錯誤と時間が必要になります。DHT-S217の開発では、そういったチューニングの機会も多く設けることができ、多くの時間をかけることができました」(山内慎一氏)
「可能な範囲で音にこだわりたい」という願望
自宅、特にリビングルームにおけるオーディオビジュアルの品質というテーマについて、少し考えてみよう。
映像配信サービスの普及や、コロナ禍で在宅時間が伸び、テレビを眺めている時間が伸びたことで、「お気に入りのコンテンツを、いい音で楽しみたい」という願望を持った人も多いのではないかと推測する。
それは簡単に実現しないことも多い。参考までにオーディオ誌を覗いてみれば6ケタ台の製品は珍しくなく、システムを組むと数十万円の投資になってしまう。そうなると、「お金のかかる趣味」という雰囲気が出てしまい、家族の理解、経済的な事情といったハードルが現れる!
まあ、それは色々工夫すればクリアできるかもしれない。でもクリアできたとして、今度はどうだろう。小さな子どもがいたりすると、背の高いスピーカーは格好の遊び道具になる。リビングに置けば、ぐらぐらと揺らして倒してしまう様子が目に浮かぶようだ。
色々考えた結果「うーん。まあ、いいか。テレビの音も、別に悪くはないし。十分楽しめているじゃない」という結論に至り、結局、何も買わない。音質もそのまま。
……そんな人、けっこういるのではないだろうか?
しかし! DHT-S217は、こういうケースにこそ、見事にフィットしてくれる。実売価格は2万9000円台。物価が上がった、物価が上がったと言われる昨今だが、前モデルと同じ2万円台を堅持。これなら、“お金のかかる趣味感”は出ないのではないか。
設置といっても、HDMIケーブルとテレビでつなぐだけ。占有面積もコンパクトで、サイズはおよそ幅890×奥行き120×高さ67mm。奥行き120mmは、1円玉を6枚並べた長さとほぼ同等であり、ほとんどのテレビボードに設置できるだろう。