ゲーム、音楽、映画が好調なソニーを支える
さて、「人の心を動かす」事業のひとつめが、ゲームである。2021年度のゲーム&ネットワークサービス(G&NS)分野の売上高は前年比3.1%増の2兆7398億円、営業利益は44億円増の3461億円となった。PS4の累計出荷台数は1億1700万台以上、PS5の累計出荷台数が1900万台以上に達し、PlayStation Networkの月間アクティブユーザー数は1億600万人、PS Plusによる有料会員数は4740万人に達している。これらのネットワーク経由の売上高は1兆8338億円にのぼる。これらの数字からも、名実ともにソニーグループを支える事業に育っていることがわかる。
2022年5月には、PS Plusの全面的なリニューアルを行う一方、PS5の2022年度の年間販売台数は、現時点で部品調達の目途が立っている1800万台を目標に置き、前年度よりも大幅に増やすことになる。さらに、買収戦略の加速や開発投資の拡大などにより、自社制作ソフトウェアを強化する一方、PCをはじめとしたマルチプラットフォームへの展開を推進。ゲーム事業の成長をさらにドライブさせる考えだ。
ふたつめの音楽分野の売上高は前年比18.8%増の1兆1169億円、営業利益は261億円増の2109億円。ストリーミングサービスの伸長や、継続的にヒットを生み出す仕組みの構築、インディーズレーベルやアーティスト個人との連携、多様化する配信パートナーとの連携のほか、インドやブラジル、アフリカなどの新興市場における音楽クリエイターとの関係拡大なども、音楽分野の業績拡大に貢献しているという。2021年度は、Spotifyのグローバル楽曲ランキングの上位100曲に、ソニーミュージック所属のアーティストの楽曲が毎週平均で36曲が入っていたという。
吉田会長兼社長 CEOは「アーティストやソングライターにとって、最も近い存在である企業を目指し、クリエイティブ側から支えることに注力している。感動コンテンツを生み出すアーティストやクリエイターへの支援は、制作面だけでなく、心と身体のサポートにも及んでいる」などとし、クリエイターに寄り添った事業運営を進めていることを強調する。ソニーグループらしい姿勢ともいえる。
最後となる映画分野の売上高は前年比64.5%増の1兆2389億円、営業利益は1375億円増の2174億円。米国における劇場興行収入がコロナ前の5割程度にまで回復。「Spider-Man: No Way Home」が全米累計興行収入で歴代3位を記録する歴史的大ヒットになったこと、人気テレビ番組であるSeinfeldシリーズの大型ライセンス収入などが貢献している。
今後もSony Pictures Universe of Marvel Charactersの世界を広げていく考えを示したほか、2022年2月に公開した映画「Uncharted」に続き、ゲームタイトルの IP を活用した映画やテレビ番組作品を今後も制作。独立スタジオとしての立場を活かして配信パートナーとの連携も強化していくという。
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