JETRO、スタートアップのブラジル市場展開のため支援策を発表
巨大市場ブラジルに挑戦できるスタートアップ向けアクセラレーションプログラム「ScaleUp in Brazil」
ブラジルのイノベーションエコシステム
次にプレゼンテーションを行ったのは2000年に設立され、世界でも最も歴史のあるPEVC協会の1つとされているabvcap(ブラジルプライベートエクイティベンチャーキャピタル協会)のCristiane Nascimento氏。Cristiano氏はブラジルのイノベーションエコシステム及び投資環境についての紹介がなされた。
ブラジル市場の特徴を簡単にまとめると、まず巨大で、かつ若い市場ということが挙げられる。そのためテクノロジーについての馴染みが深く、インスタグラムやYoutubeにとってもトップ5の市場に入っている。また、スマホ市場としても世界で5番目に大きな市場となっている。
ブラジルのイノベーションエコシステム極めて急速に成長を遂げている。2010年の段階ではスタートアップは600社に満たず、VCファンドも10社もなかった。しかしこれが2022年には22000社を超えるスタートアップ、120社を超えるVCファンドを擁する規模に成長してきており、2010年には存在しなかったユニコーン企業も既に27社を数えるほどとなっている。
ブラジルのスタートアップは成長を続けており、その60%以上がLater Stageと呼ばれるオペレーション及び検証の段階にある。また、従来は十分な規模を持つ国内市場のみに注力するスタートアップが多かったが、今では約18%のスタートアップが海外進出を行っている。
南米には49社のユニコーン企業が存在していると言われているが、そのうちの27社はブラジルで設立された。また2021年において、その年に最も多くのユニコーン企業を輩出した国のランキングでトップ10にブラジルが入った。これはVCがブラジル市場に注目をし、巨額の投資を進めていることを意味する。下のグラフを見れば、過去数年間で投資金額の面でも投資件数の面でも非常に大きな成長を遂げていることがわかるだろう。
また、松平氏のプレゼンでもあった通り、Fintechはブラジルで最もVCに注目されている事業領域となっている。ブラジルのユニコーン企業のうち10社がこの領域の企業であり、2020年時点で700社近くのスタートアップがこの分野でしのぎを削っている。日本のスタートアップについても、特にこの分野の企業は是非ともブラジル進出を検討してもらいたいとしており、そのための支援プログラムも用意されている。