実はスマホだけではない、AirPodsも対象となっている
Radio Equipment Directiveが対象とするのは、スマートフォンだけではない。タブレット、ヘッドセット、デジカメ、携帯型ゲーム機、携帯型スピーカーもその対象に含む。
また、チャージャーの標準化だけなく、スマートフォンなどの端末とチャージャーをセットで提供することも禁じる。これは、REDにはチャージャー周りの「消費者の不便さ」の解消に加えて、「環境に配慮する」という目的も含まれているためだ(なので、環境派の議員の支持も得られた)。
EUによると、消費者が毎年チャージャーに費やす総額は24億ユーロ(約3250億円)、38%がチャージャーの互換性のなさに不満を感じている。また、使わなくなったチャージャーにより年間1万1000トンの廃棄物が出ているとも。3人に2人はすでにチャージャーを持っている。なので、共通化で不要なものが減って、年間2億5000万ユーロ(約340億円)を節約でき、1000トン近くの廃棄物を減らせると見積もる。
4月20日の欧州議会での可決の後、5月に入り、著名なアップルアナリストのMing-Chi Kuo氏が2023年にアップルが発表する「iPhone 15」では、LightningポートがなくなりUSB-Cになると予想。Bloombergも、アップルはすでにUSB-Cに置き換えたiPhoneをテスト中と報じた。
欧州とアップルはさまざまな局面で対立関係にある。先にEUが合意を発表した「Digital Markets Act(DMA)」でも、アップルは反対を表明している。
REDは今後、施行に向けた準備に入ると予想されるが、アップルはこのまま従うのだろうか。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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