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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第165回

衣類の汚れを超音波で落とす「超音波シミ抜き」は簡単でラク

2022年04月19日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

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プロは細部が大事

 「マジックは不思議さが大事」と思われがちですが、大切なことはそれだけではありません。たとえば、道具や衣装。ジャケットがカビ臭かったり、シャツにシミがあったりすると、きっとお客さんは、マジックに集中できないはず……。

 そうしたことは、マジックだけでなく、どんなジャンルのプロも同じかもしれません。「神は細部に宿る」といったのは、近代建築の巨匠のひとり、ミース・ファン・デル・ローエ。「全体も大事だけど、細かいところはもっと大事」、そんなふうに筆者はこの言葉を理解しています。

シャツの黄ばみは化学変化!?

 シャツの汚れ、とくに襟元や袖口の汚れは洗濯やクリーニングに出しても、あまりキレイに落ちないことがあります。洗った直後は真っ白に見えますが、クローゼットで時間が経つとだんだんと黄ばみが戻る……。そんな経験はないでしょうか。

 その原因は、襟元についた汗やタンパク質の汚れなどが洗濯で落ちきらず、時間がたって黄色く化学変化するから、というものが定説です。

 というわけで、洗濯の前に襟などに専用洗剤を塗ってから洗っていますが、「洗剤が残っても黄ばみの原因になる」そう。なので、シャツの黄ばみ対策は、そう簡単ではありません。

前から欲しかった「超音波シミ抜き」

 家電量販店で前から気になっていた「超音波シミ抜き」。筆者は趣味のDIYでも「超音波洗浄機」を使っているので、その効果は経験済み。ただし、超音波洗浄機はメガネや小さな機械部品を洗浄するためのもので、シャツなどの洗濯物は入りません(笑)。

 超音波洗浄の原理は、超音波により水中で発生させた泡が破裂する振動波で、汚れを引き剥がすというもの。洗濯に使う「超音波シミ抜き」は、ペンのような先端が振動し、汚れに集中的に振動波を当てる方式です。

先端のホーンと呼ばれる部分が超音波振動してシミ汚れを落とす

 今回購入したのはオーム電機「超音波シミ抜き Lavatio KAJ-SUL-V 08-3230」(以下、Lavatio)。超音波の振動数が47000回/秒をほこること、USB Type-C端子を使った2時間の充電で50分の連続使用ができることなどが特徴です。アマゾンで5945円(2022年4月現在)で購入しました。

水性の汚れは数秒で落ちる

 さっそく、実験してみました。使ったのは、ゴシゴシと洗えない細い糸で織られた「ターンブル&アッサー」のシャツ。イギリスのシャツメーカーで、同社によると、ジェームズ・ボンドも愛用している(笑)と聞き、2005年に英国で買いました。

 大事に着ていますが、17年も着ると、さすがに洗濯では落ちない汚れが蓄積しています。

ボンドも愛用(笑)の「ターンブル&アッサー」のシャツ。17年も着てるので洗濯では落ちない襟元の汚れが

 襟元の汚れを落とす前に、まずは、口紅、コーヒー、しょうゆでシミをつけ、Lavatioの実力を見てみることにします。

左から、口紅、コーヒー、しょうゆをつけ、十分に乾燥させた

 コーヒーやしょうゆなど、水性の汚れは水とLavatioだけで数秒で消えていきます。こすったり、叩いたりしないので、デリケートな生地にも優しい気がします。さらに、歯ブラシなどでトントンと叩く必要もなく、スポイトなどで水を滴らしながら、先端をシミに当てておくだけ。作業がとてもラクチンですし、音もほとんどしません。

油性の汚れは洗剤の併用で落ちる

 一方、口紅の油性の汚れは、水とLavatioだけだと、薄くはなりますが、完全には落ちきりません。説明書にあるように、洗剤を数滴たらし、Lavatioを使えば、数秒〜1分ほどで落ちます。

口紅など、油性の汚れは水だけでは完全に落ちない

洗剤と併用すると、ほぼ完全に落ちる

17年分の襟汚れも、時間はかかったが落とせる

 コーヒー、しょうゆといった水性の汚れ、口紅などの油性の汚れはLavatioで落とせることがわかりました。では、シャツの17年分の襟汚れは落ちるのでしょうか。

 結論から申し上げると、17年かけて蓄積した頑固な汚れはそう簡単にはいきませんでした。水+Lavatioだけで半分くらい汚れが落ち、洗剤(酸素系漂白剤)+水+Lavatioでまた半分。最後にスチーム(蒸気)をかけて熱で黄ばみを分解してみました。

超音波シミ抜きは、トレイで水に浸しながら使うと作業がラク

最後はスチーム(熱)で黄ばみを分解。Lavatioとの合わせ技

 いずれにしても、歯ブラシや布などでトントンと叩いたりする必要はなく、Lavatioを当てているだけ(もしくは、最後にスチームをあてるだけ)の作業。生地に力をかけないので優しく、とてもラクに汚れ落としができました。

新品とまではいえませんが、かなりスッキリした白さになった

 次からは、自分で洗うにしてもクリーニングに出すにしても、たまに「超音波シミ抜き」で蓄積した汚れをリセットしようと計画しています。メンテナンスを継続させる秘訣は「簡単でラクなこと」、それに尽きると思っています。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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