IPv6 IPoE 10周年記念ミーティングの締めは豪華メンバーのパネル
コンテンツ、アクセス格差、集合住宅 IPv6普及に向けた次の課題
IPv4 as a Service化により、IPv6トラフィックは一気に増加
続いて登壇した石田氏は、これからの10年について「無線は5G、有線はFTTHということになるが、もっとも重いのは通信事業者の課金モデル」と指摘。データを元にこれまでの10年をまず振り返った。
まずはNTT NGNのIPv6化の進捗をグラフを披露。「当初は加入者が地を這っていて、本当に苦労した。IPv6だけでは食べていけないから、IPv4との共存技術の導入を進めたというのが本音」と石田氏は語る。しかし、2014年の「光コラボモデル」の導入を契機に、IPv6化が一気に進む。IPv4アドレスの価格もどんどん上がっており、調達も難しくなっているという。
当初はダイヤルアップだった頃は接続ごとにIPv4アドレスを割り当てていたが、常時接続の時代はグローバルアドレスをつねに割り当てる必要があった。アドレス枯渇が深刻化してきた2009年頃からはキャリアグレードNATが導入され、ISPの外に出る際にアドレスが割り当てられるようになり、2013年からはVNE事業者によってIPv6インターネットを介してIPv4インターネットを利用することが一般的になってきた。「デュアルスタックの期間は意外と短く、IPv4をas-a-Serviceで利用するのが当たり前になった。これに先鞭をつけたんだろうなと振り返られる」と石田氏は語る。
IPv6普及の立役者となったIPv4 over IPv6だが、現在はDS-LiteとMAP-Eという大きく2つの方法が用いられており、ホームゲートウェイなどのエッジ側では開通のための機能とIPv4とIPv6の変換、センター側ではIPv6とIPv4の変換、IPv4アドレス共有の機能を提供している。JPNEで調べたデュアルスタックのトラフィック比率を見てみると、2017年に3割だったIPv6のトラフィックは45%程度まで拡大している。
では、移動体通信と固定通信を比較すると、やはり移動体通信の伸びは圧倒的。現状、4Gは純減しているが、それを上回るペースで5Gの契約が伸びており、FTTHの固定通信の伸びを大きく上回っている。一方で総務省のデータを調べると、1契約当たりのトラフィックを調べると、固定通信の方がはるかに大きい。「1契約当たりの倍率として移動体通信に比べて固定通信はだいたい30倍くらいのトラフィックをさばいている。端末あたりでも3~10倍くらいの固定通信のほうが多い。これが全部5G、6Gに載って大丈夫なのかという気持ちになる」(石田氏)
さらに移動体通信と固定通信のアップロードとダウンロード比率を比較してみると、以前は固定通信の3割はアップロードだったが、今では両者に変化がないという。「つまり、使っている端末が同じということ。みんなスマホかタブレットで、PCであってもダウンロードがメインという使い方になっている」(石田氏)。
最後、石田氏は村井純氏が「デジタル田園都市国家」のインフラ構築についての意見書を披露し、5G/6Gと光ファイバ網は相互補完の関係にあると指摘。また、デジタル田園都市国家戦略のミッシングリンクとして、集合住宅内の高速化が必要になると後の議論をポイントした。