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写真家 鹿野貴司「Pixel 6 Pro」テストレポート 第5回

グーグル「Pixel 6 Pro」手軽で多彩な「編集」で写真の魅力アップ【写真家 鹿野貴司レビュー】

2022年03月27日 12時00分更新

文● 鹿野貴司 写真●鹿野貴司 編集●飯島恵里子/ASCII

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Pixel 6 Proのカメラは基本が色鮮やかなので、「フィルタ」で彩度が低めの項目を選ぶと、ハマることが多いように思う。左はオリジナル、右は「メトロ」を選択したもの。わずかに青みを帯び、メリハリも強くなる僕好みの設定だ

「フィルタ」でローファイなアレンジを自由自在に

 デジカメが普及して、フィルムユーザーは品数減少や価格高騰に悩まされ続けている。僕もそのひとりだが、一方でフィルムを愛用する若者は増えており、中古フィルムカメラは高値で取引されている。若者はフィルムの写真をよく「エモい」という言葉で表現するが、その理由は狭い階調や色の偏りにあると思う。何でも忠実に写るデジカメに比べれば、フィルムカメラは極めてローファイ(低品質)だ。そしてそれを擬似的に再現するのが「フィルタ」というわけだ。

 せっかく優れたカメラ機能を搭載しているのに、その画質を意図的に下げるとは矛盾も甚だしい。しかし元画像の情報量が多いからこそ、ローファイなアレンジが自由自在にできる。

左がオリジナルで右の写真が「フィルタ」適用後。これは「西部」。西部警察の西部?と思ったけれど、もしかして「ウエスタン」の直訳だろうか。たしかにアメリカのアパレルやアウトドアブランドのカタログには、こんな中間調がわずかに浮いた写真をよく見かける

左がオリジナルで右の写真が「フィルタ」適用後。「フィルタ」にはモノクロも3種類用意されている。その中のエッフェル。たしかにパリを撮ったモノクロ写真にありそうな雰囲気。さすがにパリには行けないので銀座で再現してみた

 とまあ端末のレストレポートのはずなのに、まったくそうでない終わり方でスミマセン。昨年秋からPixel 6 Proをお借りして半年近く使ってきたが、私物のiPhoneが11 Proとやや古いこともあって、動作の軽快さや描写力の高さをいろいろな場面で実感した。

 個人的にはちょっと発色が鮮やかすぎるとは思うが、高精細でキレのある描写は大きな魅力だ。何より「消しゴムマジック」や「アクションパン」はスマホの進化と未来を感じさせた。久しぶりのAndroidだが操作に迷うこともなく、むしろあらゆるツールをグーグルに依存しているので、カメラ以外の部分についても便利に感じることが多かった。そんなグーグルがカメラそのものを作ったら、きっと驚くような製品ができるんだろうなぁ……と夢が膨らむ。

 Pixel 6/6 Proはライバル機種よりお買い得だが、技術を盛り込んだハイエンドモデルにも挑戦してほしい(※個人の希望です)。

 

筆者紹介――鹿野貴司

 1974年東京都生まれ、多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーランスの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるかたわら、精力的にドキュメンタリーなどの作品を発表している。

 写真集に『山梨県早川町 日本一小さな町の写真館』(平凡社)など。公益社団法人日本写真家協会会員。

 

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