テクノロジーでSDGsに挑む!社会派エンジニアの活躍とは?
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泥臭いヒアリングから、業務知識が生きてくる
マスクド:エンジニアにおける評価制度は数値化出来ない部分も多く難しいですが、どのような工夫をされていますか。
沼尻:エンジニアでも職種が異なるため、画一的な評価は難しいです。アサインされた案件によっては、個人の努力と成果がひもづかない場合もあるでしょう。そこで所属するグループのリーダーと面談を重ねて、役員や他のリーダーによる意見をすり合わせるなど、幅広い評価でエンジニア自身が納得できる評価体制を整えています。
高スキルな人が評価されるのはもちろんですが、評価基準には技術力などの専門性に加えてチームでの開発業務における人間性も評価します。能力があれば在籍期間に関係なく昇進や昇給するので、若手エンジニアもソフトバンク様や小田急様といった大手企業との協業プロジェクトに抜擢されています。
また、社内表彰制度として「社員アワード」という、1年間で最も活躍した社員をMVPに選んでいます。昨年も受賞者が社員全員にお礼メッセージ送るなど、相互評価や承認を尊重する文化を作っています。会社として「人は適切な機会と環境があれば成長できる」と考えており、活躍する機会を先に提供すべきと いう方針ですね。成果を出したエンジニアなら継続的に活躍できるポテンシャルがあると考えています。
マスクド:コロナ禍におけるテレワークが主流となる中で、社内コミュニケーションで意識される点はなんでしょう。
沼尻:従来の週1回行われる定例会議から、毎日15〜30分程度のカジュアルなMTGを増やしました。加えてチームリーダーとメンバーによる1on1を週次で実施するなど、コミュニケーションの軸としています。
変わった取り組みとしては役員が社員をゲストに呼ぶラジオ番組「曽我部さん(同社代表取締役)の部屋」があります。普段はわからない社員の意外な一面が見えるので好評ですね。
マスクド:エンジニア採用や定着率の向上は各社が苦心していますが、グリッド様はどんな方針を取られていますか。
沼尻:ここ1〜2年で採用方針や人事制度を固めてきました。特に企業としてのミッションや評価制度の決定には、試行錯誤も必要でした。社内の意見を集約するのは難しく、外部の人事コンサルタントからの知見も反映しながら進めていきました。人事制度は現在でも定期的に見直しており、こうした取り組みのおかげで採用や定着率が向上しています。
採用について以前はアカデミック出身者が中心でしたが、現在は業務知識を持ったエンジニアに定めています。社会インフラの課題解決は難易度が高く、論文などを調べる機会も多いです。弊社では修士や博士出身のエンジニアも多く、大元の情報から体系立てて調査するスキルを業務に役立てています。しかし論文では現実の問題が考慮されておらず、数理最適化における制約条件も簡単には洗い出せません。そこでお客様から泥臭くヒアリングする必要があり、業務知識が生きてきます。こうした社内外の現状を鑑みながら組織体制を日々見直すには、幅広い知見が重要だと感じています。
マスクド:今後の展望についてどのようにお考えでしょう。
沼尻:我々の強みは社会インフラにおける課題解決能力や技術力です。PoC(注釈)で蓄積したノウハウを活用したサービスとして、計画の最適化やデータの可視化を実現する開発プラットフォーム「ReNom Apps」を提供します。組織としては専門分野に特化して深堀りできる力と、ノウハウを他業種に横展開できる力という両方を目指します。技術と業務知識を深めることで、より強いエンジニアチームになりたいですね。
※注釈:「Proof of Concept」の略で「概念実証」という意味。新たな取組における効果などを検証すること。
取材を終えて
インタビューでグリッドには本気で社会インフラでイノベーションを起こしたいという情熱を持つエンジニアが多いと語っていた。これまでデータの利活用はネット広告やECなどデジタル上におけるやり取りが中心で、エネルギーや配船計画といったアナログな分野では立ち遅れていた。しかしながら、社会インフラにおける課題は我々の生活に密着した問題でもある。巨大で困難な課題に対して、テクノロジーで愚直に取り組むエンジニアの姿に職人気質を感じた取材であった。
マスクド・アナライズ
空前のAIブームに熱狂するIT業界に、突如現れた謎のマスクマン。
現場目線による辛辣かつ鋭い語り口は「イキリデータサイエンティスト」と呼ばれ、独特すぎる地位を確立する。
"自称"AIベンチャーを退職(クビ)後、ネットとリアルにおいてAI・データサイエンスの啓蒙活動を行う。
将来の夢はIT業界の東京スポーツ。
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