日本電信電話(NTT)と大阪大学の研究チームは、量子コンピューターにおける「量子誤り訂正」と「量子誤り抑制」を組み合わせた「ハイブリッド量子誤り削減法」を提案。量子誤り訂正だけを用いた場合に比べて、実用化のために必要な量子ビットの数を最大で80%削減できることを示した。
日本電信電話(NTT)と大阪大学の研究チームは、量子コンピューターにおける「量子誤り訂正」と「量子誤り抑制」を組み合わせた「ハイブリッド量子誤り削減法」を提案。量子誤り訂正だけを用いた場合に比べて、実用化のために必要な量子ビットの数を最大で80%削減できることを示した。 量子コンピューターの開発では、量子の重ね合わせ状態が環境のノイズによって壊れやすいことに起因する量子ビットの誤り率をいかに抑えるかが最大の課題となっている。研究チームが提案したハイブリッド量子誤り削減法は、これまで独立して検討されてきた手法である、量子誤り訂正と量子誤り抑制を組み合わせたもの。実装が容易な量子誤り訂正符号で削減された誤り率を、さらに後続の量子誤り抑制で取り除く。 ハイブリッド量子誤り削減法では、量子誤り訂正で誤りを取り切らなくても、後続の量子誤り抑制が誤りを削減するため、要求される冗長化の度合いを減らすことが可能となる。その結果として、ニーズに応じた小さな誤り率を持つ量子コンピューターを構成するのに必要な量子ビットの数を減らせるという。 従来の量子誤り抑制手法は小規模な量子コンピューターにしか適用できず、一方で、量子誤り訂正を実施するには現在よりはるかに大規模な量子コンピューターが必要となってしまう。今回のハイブリッド量子誤り削減法により、近未来に実現が予測される中規模な量子コンピューターで信頼性のある計算ができるようになる可能性がある。 本研究成果は3月18日に、PRXクァンタム(PRX Quantum)誌に掲載された。(中條)