短いホイールベースと高い最低地上高
氷雪路において必要なのは、まず「最低地上高の高さ」です。どんなに優秀な四輪駆動システムでも、雪の穴にはまって底付きすればおしまい。いわゆる「カメ」になれば空転するばかりで車体は動きません。
一般的な乗用車の最低地上高は130〜150mm程度。今年のように下を擦りたくなければあと3cm、できれば5cmは余計にクリアランスが欲しい。そこで国内乗用メーカーの現行生産車から、最低地上高180mm以上の4輪駆動車をピックアップしてみました。
なお同一車種でも仕様・グレードによりスペックの異なるものは、最低地上高が高く、かつ車重が軽く、車両本体価格の一番安いグレードという条件でフィルタリングしております。
最低地上高の優勝はランクルの225mm。さすがクロスカントリー四駆の王者。次いでフォレスター、プラド、そしてハイラックスと続きます。しかし単に路面とのクリアランスがあれば良いわけでもありません。最低地上高が同じなら、一般的にホイールベースは短い方が踏破性は高い。障害物がホイールベースより小さく、最低地上高より高ければ、たとえ前輪が障害物を乗り越えたとしても、床下に当たれば身動きは取れません。
そうした踏破性の目安となるのが「ランプブレークオーバーアングル」。坂道を登る際、その傾斜が何度までなら平らな頂上へのアプローチで底付きしないかを示す角度です。
メーカー公表値はジムニーが28度、ランクルは25度、ハイラックスは23度、プラドは22度、フォレスターの”SPORTS”モデルは21.3度。ここはジムニーが優勝です。
こうしたデータが示すように、ランクルとジムニーの踏破性は甲乙付け難い。とすればジムニーの武器はコンパクトさです。特に今年の冬のような状況では尚更で、ジムニーに替わるクルマはないと私が考える理由はこれです。ただしホイールベースは長いほど走行安定性は増しますから、ランクルは踏破性の高さと快適性を両立しているところに価値があります。
しかし、そんな優秀なクルマも手に入らなければ存在しないも同然。いますぐ買えるクルマの方が大切です。
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