連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第24回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 3月12日~3月18日分
世界AI市場は20%成長、ヘルスケア企業への信頼度、新卒採用で重視される「主体性」、ほか
2022年03月22日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えしています。
今回(2022年3月12日~3月18日分)は、世界AI市場のジャンル別成長率、サイバー攻撃の現況、ヘルスケア企業に対する消費者の信頼性、新卒採用で企業側が見ているポイント、国内映像ソフト市場についてのデータを紹介します。
■[AI]世界AI市場は2022年、前年比19.6%増で成長――AIサービスとハードウェアの伸びが好調(IDC Japan、3月16日)
・全世界のAI市場は2022年、前年比19.6%成長し4328億ドルへ
・2023年には市場規模が5000億ドル台突破を予想
・AIサービスは2025年まで年間平均成長率(CAGR)22%で成長
全世界のAI市場(ソフトウェア、ハードウェア、サービスの3カテゴリ)は2022年、4328億ドルの売り上げを見込む(前年比19.6%増)。3カテゴリのうち、今後5年で最も急速に支出が増加すると見込まれるのはAIサービス分野。それに加えAIハードウェアも支出が増加ペースが速まることから、2022~23年は支出額におけるAIソフトウェアの比率が若干低下すると見込む。2025年までのAIサービスのCAGRは22%、AIハードウェアは20.5%と予想。
■[セキュリティ]2021年、日本の企業・組織が受けるサイバー攻撃は前年比85%増加(チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、3月17日)
・企業や組織が1週間に受けるサイバー攻撃は前年比50%増
・最も狙われたのは「教育・研究」、次いで「政府・軍事」「通信」
・国内でのサイバー攻撃数は前年比85%増加
2021年の世界のサイバーセキュリティ動向をまとめたレポートより。1週間に受けるサイバー攻撃は世界的に増加。世界では前年比50%増、日本は同85%増となった。最も狙われたのは「教育・研究」(週の平均攻撃件数は世界1605件、アジア3524件)、次いでアジアでは「ISP/MSP」(平均攻撃件数は2045件)、製造業(同 1590件)など。攻撃トレンドとして「サプライチェーン攻撃」「モバイル端末への攻撃の進化」「クラウドサービスの脆弱性増加」「Emotetボットネットの再来」などを挙げている。
■[ヘルスケア]ヘルスケア業界の顧客動向、消費者の信頼が高い「医療機関」、低い「製薬企業」(セールスフォース・ジャパン、3月17日)
・消費者の信頼度が高いのは「医療機関」「保険会社」「医療機器メーカー」「製薬企業」の順
・「医療機器メーカーを完全に信頼する」と回答した消費者は、メーカーが提供するサービスにも高い関心
・信頼のカギを握るのは「パーソナライズ」
Salesforce.comのリサーチ機関、Salesforce Researchが世界の消費者1万2000人以上を対象に、ヘルスケアに関して信頼度などを調べた「ヘルスケア業界の顧客動向(第2版)」より。ヘルスケア4業種のうち、最も信頼度が高いのは「医療機関」。最も低かった「製薬企業」は、ワクチンに対する懐疑論が原因と分析している。消費者は信頼が高ければその企業のサービスにも高い関心を示すこと、パーソナライズされたコミュニケーションが信頼を生むことなども数値化して報告している。
■[人事]新卒採用で重視するのは「主体性」「コミュニケーション能力」(経営者JP、3月16日)
・新卒採用で最も重視した点は「主体性」
・役職別でも「主体性」が多く上がるが、幹部・役員クラスは「コミュニケーション能力」がトップ
・リモートワークが増加し、部下の動きが見えにくくなったことが背景
エグゼクティブ向けの転職支援サービスである経営者JPが、エグゼクティブ約2000人に今年度の新卒採用について聞いた(有効回答61人)。今年度新卒を採用した企業は54.1%、選考時に重視するポイントは8割以上が「主体性」を挙げた。役職別では、経営者は「主体性」「コミュニケーション能力」「誠実性」、幹部・役員クラスになると「コミュニケーション能力」「協調性」「チャレンジ精神」、課長クラスでは「責任感」が3番目に入った。リモートワークでは部下の動きが見えにくくなり、主体的に動く人材を求めているようだ。
■[映像ソフト][消費動向]国内映像ソフト市場は3年ぶりプラス成長、「鬼滅の刃」効果で邦アニメが最大ジャンルに(GfKジャパン、3月17日)
・2021年映像ソフト市場は金額ベースで3年ぶりのプラス成長、前年比2%増
・販売チャネル別ではEコマース(EC)が68%、拡大傾向が続く
・邦アニメが金額ベースで最大ジャンルに、劇場版「鬼滅の刃」がけん引
国内のメディアストア、家電量販店、ECなど映像ソフト取扱店の販売実績から推計した2021年のセル映像ソフトの販売動向。数量ベースで前年比3%減少の2569万枚だが、金額ベースでは同2%増と3年ぶりに前年を上回った。平均価格は前年から5%増の5569円(税抜)だった。販売チャネル別(金額ベース)ではEC(68%)、メディアストア(19%)、家電量販店(4%)。ジャンル別(金額ベース)では、初週100万枚越えとなった劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」がけん引し、邦アニメが33%で最大ジャンルに。前年トップだった音楽を上回った。GfKでは、映像視聴者はフィジカルとデジタルを併用するケースが増えていることから、セルパッケージの一定の需要は今後も維持されると見ている。

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