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日本MSが「Microsoft 365 & Teams Day 2022」を開催、フロントラインワーカーのDX事例も紹介

NECと横河レンタ・リースが「Microsoft Teams」活用事例を語る

2022年03月22日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフト(日本MS)は2022年3月16日、オンラインイベント「Microsoft 365 & Teams Day 2022」を開催した。

 同イベントはテーマに「New World Of Hybrid Work」を掲げ、「Microsoft 365」と「Microsoft Teams」で実現する新しいハイブリッドワークの在り方を提案するもの。Microsoft 365のお勧め機能やTeamsの進化、Windows 11の最新情報、「Microsoft Viva」が提供する価値などを、3つのライブセッションと8つのオンデマンドセッションを通じて紹介した。

日本マイクロソフトが「Microsoft 365 & Teams Day 2022」を開催

 このうちライブセッションとして行われた「ハイブリッドワーク時代に加速する“組織変革のDX”」では、NECおよびコミュニティオ、横河レンタ・リースが登場。TeamsやTeams上のアプリ、電話機能などを活用した各社のDXやハイブリッドワークへの取り組みを紹介した。

 またマイクロソフトからは、フロントラインワーカーに対する働き方調査の結果をふまえつつ、国内外の導入事例とTeams活用術を提案した。

NEC:社員どうしで感謝を伝えあうツール活用、カルチャー変革を進める

 最初に登場したNECでは、Teams上で動作するコミュニティオの「TeamSuite(チームスイート)」を活用している。Web会議やチャットとしての利用だけにとどまらないTeams活用事例だ。

NEC 人事総務部 PeopleSuccessの岡田悠氏(左)、コミュニティオ プロダクトマネージャーの石川暁氏(右)

 TeamSuiteは、社員どうしが感謝の言葉を述べられる「サンクスカード」を、Teams上でやり取りできるアプリだ。感謝と賞賛に特化した場を設けることで、ビジネスシーンにありがちな「人間的なコミュニケーションの軽視、後回し」環境を是正し、コミュニケーションのバランスを補正できるという。NECでは、2021年11月から約2万人のNEC全社員を対象にサンクスカードを展開しており、2022年4月からはこれをNECグループ全体に拡大する。

コミュニティオ「TeamSuite」の概要

 NECの岡田悠氏は「NECではTeamsがコミュニケーション基盤となっており、Teamsのチーム設定によって事業部全員が一気に確認したり、各スレッドでリアルタイムの議論が行えるようになっている。さらにサンクスカードの導入によって『認め合い、高め合う文化』を作るという目標に向けた取り組みが行えている」と評価した。

 「NECでは、中途採用の活性化や海外企業の買収などにより、社員の多様化が進んでおり、そうした環境への対応にもサンクスカードは適している。社員のモチベーション向上や、善い行動を見える化、共有化することで、社員の行動変容にもつながっている。サンクスカードは、NECが推進している『Smart Work 2.0』においても活用していく」(NEC 岡田氏)

NECではTeamsを活用して企業文化の変革にも取り組む

 コミュティオの石川暁氏は「サンクスカードを通じてポジティブフィードバックを仕組み化することで、チームパフォーマンスを向上させることができる。利用するうちに生じる“飽き”を防ぐ機能も多彩で、定着させやすい点が特徴」だと説明する。NECへの導入後には、定例会で課題を抽出し適切な打ち手を実行したり、システムのカスタマイズや新機能開発を迅速に行ってきたという。

 「最近ではプラットフォームとしてのTeamsの存在感が高まり、Temas連携が容易になったと感じる。ベンダーの立場としても価値提供の選択肢が増えており、ニーズにあわせた新たな機能を追加しやすい」(コミュティオ 石川氏)

横河レンタ:「Teams電話」でトータルコスト13%削減、ハイブリッドワークも促進

 横河レンタ・リースでは「Teams電話」の活用事例を紹介した。Teams電話はTeams上で音声通話やビデオ通話ができる機能で、Teamsから外線電話を利用できるのが大きな特徴だ。マイクロソフトによると、現在ではFortune 500企業の90%以上がTeams電話を利用しているという。

横河レンタ・リース 情報システム本部システム基盤部第二課長の浅野井宏之氏

 横河レンタ・リースは、PCやIT機器、計測器のレンタル、システムの物販を行っており、国内13拠点に約1000人の従業員を持つ。2016年からMicrosoft 365を導入し、2017年にはいち早くTeamsも採用して、これらのツールを積極的に利用してきた。Teams電話については、2019年9月からソフトバンクの「UniTlak」を導入してPoCを開始し、2020年8月からTeams電話を本格導入している。

横河レンタ・リースにおけるMicrosoft 365、Teamsの導入履歴

 横河レンタ・リースの浅野井宏之氏は、実は「Teams電話の導入時点では(コミュニケーション環境で)決定的に困っていることは見当たらなかった」と振り返る。オフィスに行けばPCや電話があり、営業部門ではiPhoneを活用していたからだ。それでも「事業変革に伴うオフィスの拡大、『働き方改革』といった経営課題に対応するうえで、Teams電話は効果があると考えた」と語る。

 「(Teams電話は)フルクラウドで、どこからでも、どのデバイスからでも代表電話が使えるため、98%の社員がテレワークを実施できるようになった。iPhoneを500回線増やしても、通信コストは30%削減できた。組織変更に伴う処理も、PBXでは1カ月かかっていたものが、Teams電話ではユーザー部門側でチームメンバーを変更するだけで済むので、およそ1分で完了する。トータルコストは13%の削減となった」(横河レンタ・リース 浅野井氏)

 また、1000ライセンスの環境で運用しても想像していたよりも音質がいいこと、PCやiPhoneのどちらでも利用できることに評価が集まっているという。「さらに、電話がハイブリッドワークに対応したことで、ユーザー部門が主導する形で、細かな業務が加速的に変化するというメリットも生まれた」(浅井野氏)。

Teams電話をフルクラウドで導入、さまざまな通話形態を可能にした

Teams電話導入前後の比較。通信費は約30%、トータルコストでも約13%削減できた

フロントラインワーカーの現状とデジタル変革への支援

 日本マイクロソフトの影山三朗氏は、マイクロソフトが2022年1月に発表した「Work Trend Index Special Report」調査レポートの結果から、フロントラインワーカーの現状を示すとともに、TeamsやPower Appsなどを活用したいくつかの国内外の事例を紹介した。

日本マイクロソフト モダンワーク&セキュリティ本部モダンワークビジネス部プロダクト マーケティングマネージャーの影山三朗氏

 フロントラインワーカーとは、小売店で接客する人や工場の生産ラインに従事している人、対面営業を行っている人など、現場の最前線で活躍するすべての従業員を指す言葉だ。影山氏は「フロントラインワーカーはビジネスの重要な屋台骨であり、マイクロソフトが重点的に取り組んでいる領域だ」と述べ、世界ではワークフォース(労働人口)の80%に相当する、およそ20億人のフロントラインワーカーが活躍していると説明する。

 米マイクロソフトが発表した2022年度第2四半期(2021年10~12月)の決算発表によると、Teamsの月間利用者数は約2億7000万人に達しているが、なかでもフロントラインワーカーのTeams利用者数は前年比2倍になっているという。

 Work Trend Index Special Reportによると、フロントラインワーカーの76%が「同僚との絆を強く感じている」が、その一方で、62%は「フロントラインワーカーのカルチャーやコミュニケーションを経営層が理解していない」と回答している。さらに、51%は「現場での仕事が評価されていない」と感じている。

 さらに、フロントラインワーカーの63%が「新たなテクノロジーによって生み出されるチャンスに期待」していること、職場のストレスを軽減する要因には「給与」「休暇(PTO)」に次いで「テクノロジー」がランクインしている。46%が「新しいテクノロジーに適応できなければに職を失う」と考えているものの、そのための「正式なトレーニングを受けていない」従業員は55%に達するという課題も明らかになった。

 影山氏は、この調査から浮かび上がった課題として「フロントラインワーカーはビジネスを止めずにがんばっているが、経営層にそれが十分に伝わっていない」こと、「テクノロジーに対する期待が高く、スキルギャップを埋めるためのトレーニングが必要だと考えている」ことを挙げた。

 「マイクロソフトでは、現場のカルチャーを重んじながら最新のテクノロジーをフロントラインワーカーに投入し、トレーニングを含めてその展開を支援することが大切だと考えている。たとえば使い慣れたスマホなどを使ってTeamsにアクセスし、その上でアプリを活用し、目の前の業務に集中できる環境を提案するなどだ」(影山氏)

 影山氏は国内外のフロントラインワーカーによるTeams、Power Platofomの活用事例も紹介した。

フロントラインワーカーによるPower PlatformやTeamsの活用事例

 JR東日本では、グループ経営ビジョン「変革2027」をベースにDXを推進しており、基幹システムの見直しにあわせて「Power Apps」を導入している。たとえば車両保守などを行う東京総合車両センターでは、ローコード開発で現場業務に役立つアプリを短期間で開発し、社員参加型の業務効率化とペーパーレス化を推進している。同センターでは現在16種類のアプリを開発しており、他の車両センターへの横展開を開始している。

 パソナグループでは、DX人材育成のためのリスキリングを実施している。ローコードアプリ開発のための勉強会を開催し、“ボトムアップ型DX”を推進するためにPower Appsの活用を促進しているという。

 眼鏡の販売を行う英国Bootsでは、バラバラだったコミュニケーションツールをTeamsに集約。Teams上での店頭でのシフト管理やタスク管理を一元化し、顧客に接する時間を増やしたり、社員間の情報共有を促進した。

 英国のスーパーマーケットMarks & Spencerでは、Power Appsを導入。同社従業員の8割以上を占めるフロントラインワーカーの知恵を活用して、ローコードでのアプリ開発を促進し、作業の効率化を実現した。一方で、業務効率化に関する提案活動も制度化し、継続的な改善を進めているという。

 「Teamsはチャット、オンライン会議、電話といったさまざまなコミュニケーションをひとつにまとめるだけでなく、プラットフォームとして幅広い活用が可能だ。フロントラインワーカーにも門戸を広げることができるツールであり、あらゆる従業員に対してTeamsが支援できると考えている」(影山氏)

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