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コンサルティングや技術支援を通じ「ビジネス戦略策定」から「仮説検証型ビジネス実現」をサポート

富士通とレッドハット、DX実現目指す企業支援を目的に協業

2022年03月10日 17時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 富士通とレッドハットは2022年3月10日、顧客企業の経営層と事業部門/IT部門の連携によるDX実現を支援するため、「ビジネス戦略の策定」から「仮説検証型ビジネスの実現による課題解決」までをトータルにサポートするサービス提供に向けた協業で合意した。経営課題認識やビジネス戦略策定を支援するコンサルティング、DX人材育成のためのトレーニング、仮説検証型ビジネスを支援するアジャイル開発支援や開発環境提供などのサービスを用意している。4月1日からの提供開始予定。

富士通とレッドハットが協業し提供する顧客DX支援サービスの概要

発表会に出席した、富士通 理事 ジャパン・グローバルゲートウェイ本部長の浦元克浩氏、富士通 執行役員常務 グローバルソリューション部門 副部門長の大西俊介氏、レッドハット 副社長執行役員 パートナーエコシステム事業本部長の金古毅氏

富士通:「“成功への近道”を提供するサービス」

 今回の協業では、富士通が持つDX人材やアジャイル開発力、社内DX「フジトラ」の実践知と、レッドハットのアジャイルコンサルティングノウハウを組み合わせて、顧客DXの実現に向けた包括的なサービス群を提供していく。

 富士通 執行役員常務 グローバルソリューション部門 副部門長の大西俊介氏は、DXの実現に向けて、企業の経営層や事業部門には「アジャイル志向の組織風土への変革」「ビジネスや業務プロセスの変革」「マネジメントスタイルの変革」など多くのことに取り組むことが求められており、これらは「これまでの経験則だけで進めるのは不可能、時間もかかる」と指摘する。

 「“成功への近道”は、DX/アジャイル推進の知識や経験、スキルを持つプロフェッショナルのリードや、広く社外からも新しい視点や発想を取り入れて変革を進めることだと考えている。そこで富士通では、顧客のDX推進に向けて、顧客と伴走しながら『ビジネスアジャイル』に取り組むこととした」(大西氏)

 このDX支援ビジネスを速やかに推進、確立するために、今回のレッドハットとの協業を行う。具体的には、レッドハットがこれまで顧客経営層/事業部門に提供してきた「RedHat Open Innovation Labs」のノウハウを生かしながら、富士通の「DX/アジャイル支援チーム」が組織/業務/マネジメントの変革を支援する伴走型のコンサルティングを行う。レッドハットはコンサルティングノウハウの後方支援を行うほか、開発環境への「Red Hat OpenShift」の提供なども行う。

富士通におけるDX/アジャイルビジネス支援の取り組みの概要

 さらに、必要に応じて富士通のデジタル技術専門家やアジャイル開発チームも参加し、テクノロジー面からのサポートも行う。ここにおいては、ジャパン・グローバルゲートウェイ(JGG)チームが技術サービスをデリバリーする。JGGの責任者を務める富士通 理事 ジャパン・グローバルゲートウェイ本部長の浦元克浩氏は次のように説明した。

 「富士通では従来、顧客業種別の組織およびグループ各社にエンジニアを配置していたが、今年度からJGGにエンジニアを集約しており、今年4月からは7000名規模に到達する。今回の取り組みにおいては、JGGでDevOpsに関連する技術要素の集約、スクラム、QAチーム、SRE、そうしたサービス体制を統合したデリバリーモデルを集約して整え、推進していく」(浦元氏)

富士通内部での体制。フロント組織のアジャイルチームが顧客経営層にアプローチ、JGGはデリバリー組織としてテクノロジー面での支援を行う

レッドハット:オープンハイブリッド戦略の展開拡大に向けた協業

 レッドハット 副社長執行役員 パートナーエコシステム事業本部長の金古毅氏は、今回の協業について、両社それぞれの強みを生かした取り組みになると説明した。

 「富士通が長年培ってきたDX人材の経験やアジャイル開発力と、レッドハットのアジャイルコンサルティングのノウハウを組み合わせることで、顧客の経営課題解決に向けたデジタル戦略の策定、さらにシステム設計から開発まで、両社一体となって推進し、効率的に顧客のDX課題を解決できると考えている」(金古氏)

今回の協業を通じて、富士通にはレッドハットのアジャイルコンサルティングノウハウを活用できるメリットが、レッドハットには富士通のエンジニアリソースを活用できるメリットがある

 レッドハットでは、オンプレミス(ベアメタル/仮想)環境からクラウド(パブリック/プライベート/エッジ)環境までを、コンテナプラットフォーム製品であるOpenShiftを軸に統合する「オープン・ハイブリッドクラウド戦略」をビジネス戦略として打ち出してきた。「当社ではOpenShiftを“センターオブユニバース”と位置づけている」(金古氏)。

 ただし、この戦略を推進、実現するためにはパートナーとの強力な協業が必要である。金古氏はそう述べたうえで、富士通とは2003年からパートナーシップを組んできたこと、特に2019年以降のOpenShift関連パートナープログラム/プロジェクトには富士通がすべて参画してきたことを紹介した。

レッドハットのビジネス戦略「オープン・ハイブリッドクラウド戦略」と、レッドハットと富士通の協業の歴史

 今回の協業では、レッドハットが2016年から提供してきた顧客伴走型支援コンサルティング「Red Hat Open Innovation Labs」のノウハウが生かされる。

 「Open Innovation Labsは、経営層や事業部門へのコンサルティングをはじめとして、企業のDXに求められる5つのビジネスアジリティを向上させるべく、各分野のプロフェッショナルが顧客と伴走しながら、仮説検証型のビジネス推進を支援するサービス」(金古氏)

「Red Hat Open Innovation Labs」の目的

 コンサルティングノウハウを提供する一方で、レッドハットは今回の協業を通じて富士通の開発リソースを活用できることになる。金古氏は「開発リソースも使って、コンサルティングにとどまらずエンドトゥエンドでサポートできること」が従来との大きな違いであり、富士通との協業メリットだと説明した。

 なお、今回の両社協業はまず日本国内での活動展開からスタートするが、将来的にはグローバル展開も考えていくとしている。協業を通じたビジネス目標については「2022年度から3年間で売上2000億円」(富士通 大西氏)と述べた。

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