コロプラは、2022年2月1日に「東京ミッドタウン」の新オフィスに移転。感染症対策を考えたオフィス作りの一例として知って貰い、コロナ禍でオフィスや働き方の悩みを感じている人への参考になるのではという考えの元、記者を招き、新オフィスのお披露目を実施した。
まず最初に株式会社コロプラ 取締役CFO 兼 CHROの原井義昭氏が登壇。同社の説明と、新オフィスに移った背景について語った
同社は2008年に設立した創立14年目の企業。社員は900名、グループ会社も含めると約1400人。世界で初めて位置情報ゲームを作り、現在ではスクウェア・エニックスと「ドラゴンクエストウォーク」を共同開発している。
コロプラは世界初の位置情報ゲーム『コロニーな世界☆PLUS』から始まり、指1本で遊べる3Dアクションゲーム『白猫プロジェクト』など、数多くのヒット作を世に生み出している
原井氏は、ゲーム作りにはプロデューサーやディレクター、エンジニアと多くの職種のプロフェッショナルが関わるためコミュニケーションが大事。そのため、従来もコミュニケーションが取り易いユニークなオフィス作りに挑戦してきたという。
従来のオフィスもコミュニケーションスペースやボールプール、こたつがある部屋など、コミュニケーションがし易いユニークなオフィスとなっていたという
しかしながら、コロナ感染症により出社できない、ミーティングができないなどのさまざまな影響が出て、取締役会にてコロナ禍の変化は不可逆的で元に戻らないんじゃないかと、いう議論がなされて4割オフィスを削減。
それと同時にコロナ禍に対応した新オフィス作りに着手したとのこと。狙いは2つ、コロナ禍でも従業員が安心して働ける、もう一つはクリエイティブな環境を整える。その2つを元に科学的根拠を持ったうえでの感染症対策を行なう、また出社、在宅問わず円滑にコミュニケーションが行なえるオフィス作りを目指したという。
株式会社コロプラ コーポレート本部 経営管理部 部長 森林太郎氏が登壇し、オフィス移転の詳細や概要を説明した
同社は新オフィスを作る際、移転先を決め、コンセプト(感染症対策)を確定した後、プロジェクトマネージメント会社としてディーサイン社を決定。感染症対策の専門医などは、コロナ対応で大変だろうと考え、ディーサイン社から感染症対策の根拠をデータとして持っている研究所を当たってみてはというアドバイスの元、 パナソニック エレクトリックワークス社の「くらし・空間コンセプト研究所」を紹介して貰ったという。
元々同社のオフィスがあった恵比寿ガーデンプレイスは800坪だったが北と南に分かれ、実質400坪+400坪という状態だった。一方、新オフィスの東京ミッドタウンは1100坪と、ワンフロアを広く使えコミュニケーションが容易になり、結果として換気にも有利になったという
同社は「全員出社が当たり前」の時代は終わったが、ゲーム会社として一定の出社はどうしても必要、という二律背反を解決するため、クリエイターファーストで健康を守るオフィス、従業員が安心して出社したくなるオフィス作りが必要と考えたという。
同社のオフィスは、床は学校や病院で使われている、植物性原材料の天然効果による抗菌性、抗ウイルス性を持つリノリウムを国内の大規模オフィスとしては初めて採用しているという。
記者発表会が行なわれた会議スペース。木目調のリノリウムの床に、中央を囲うような円形の椅子、メーカー名を模したオブジェとユニークな作り
天井に設置したルーバーから流れる空気で、下方向の均一な面気流(ダウンフロー)を発生させ、空間内に浮遊するエアロゾル(飛沫)を床に落とす。毎分12000リットルの空気を浄化。ブースの周りの空間の空気も循環させるパナソニックのエアソリューションも採用
エントランス
エントランスには創業者の馬場氏が個人で運営していた『コロニーな世界☆PLUS』を支えた初期サーバー“HAKASE”が展示されていた。お客様との打ち合わせなどが行なわれる会議室へと続く扉は接触がない自動ドア
会議室は白を基調とし、光の入る明るい解放感のある作り。天井はダクトが張り巡らされ、二酸化炭素濃度の低下、従業員の健康と生産性の向上に繋がったとしている
会議室の中には、同社の歴史が分かるグッズが並べられた部屋もある
会議室
従業員の健康に配慮して、週に1度マッサージも利用できるスペースも用意されている
ゲームを体験したりといった、リクリエーションな場もある
大規模なチームが一度に会議できるスペースも
リクライニングシートが備わった、ひとりで集中できるスペースも複数用意されていた
駅などに設置されている、閉鎖された個室スペースもあり、対面の部屋の人とはスピーカー越しに安全に1o1ミーティングなどが行なえるという
扉には、接触感染対策として肘で開けられるアタッチメントが取り付けられている
常時すぐ使えるように検証機やディスプレー、ケーブル類などが分かり易く並べられていた
足音が響く通路の天井には防音材が配置され、足音があまり響かず、仕事をしている人の集中が乱されないような配慮もなされていた
ポータブル手洗いスタンドのWOTAも設置されている
開放感の高い棚にいろんな種類の雑誌や専門書も、数多く置かれていた
同社は、コロナ禍の現在は約4割の出社に留めているが、感染者が減って来たら常時7割出社ほどで、新オフィスを利用する考えを示した。新型コロナ感染症により、働き方も変えていくことを与儀なくされた企業も多いと思うが、オフィスを移転する、改装する企業は、こういった次世代の対応を考えなくてはならない時に来ているのかもしれない。