スマートチェックインを実現するソリューションが目立ったHCJ2022
ホテルオペレーションをスマート化するOSなどが登場
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セールスワン
次世代ヘルスケアプロジェクト 2021でも筆者が取材したセールスワンは、入出庫管理を効率化する「収蔵ONE」をホテル業界向けに、カスタマイズして提供していた。
宿泊者キーや食器、シーツなどの備品や、宴会場で使うプロジェクターやマイクなど様々なものにRFIDタグを仕込むことで備品の管理、使用履歴などを確認できるもので、ケースや棚に収納された状態でもハンディスキャナーでなぞれば一括でスキャン、確認ができるというものだ。
例えば講演会で使うスピーカーとマイクのセットの確認をしたい場合、従来であればケースを開けて必要アイテムが揃っているかを確認する必要があったが、「収蔵ONE」であればハンディスキャナーでケースをスキャンするだけで必要機材が揃っているかを確認することができ、そのケースがいつ持ち出されて、いつ返却されたかということも把握できる。
従来は、専属スタッフがいた業務も、効率化や人員削減の中で兼任したり知識経験が少ないスタッフが担当することもあるという。そういった際に発生する備品の置き忘れ、回収し忘れなどの防止や、機材の種類、数量チェックなど「マイクはわかるけどアンプって何ですか?」という人でもハンディスキャナーをかざすだけでチェックができるので、専任スタッフの負荷も減ることも期待されている。
宿泊業のスマート化研究会
観光モデルを創る産学連携プロジェクト「宿泊業のスマート化研究会」では、「ホテル施設でのスマート化をテーマに、実際に課題を抱えるホテル運営会社とソリューションを持つメーカー」が共同で出展していた。
協業から共創の時代となり、様々な企業が垣根を越えてシステムやサービスを作り上げてゆく時代になったのを象徴する出展だったが、「システム連携を前提に設計されているがこれ単独でも動作することも可能です(実はシステム連携がオプションです)」というようなデバイスもあり、参加企業の温度差を感じる面も見受けられた。
アイディアやコンセプトは、現在の宿泊産業の抱える課題を解決するものが多く、興味深い内容で、来場者の関心も高かったように感じた。
ロイヤルファーマーズ
東京のど真ん中、新宿区市ヶ谷に居を構えるロイヤルファーマーズは、関東近県で採れた野菜を販売する事業を展開する。特に、自社においても水耕栽培でベビーリーフを栽培出荷している点がユニークだった。
農業においては、単位面積当たりの収穫量が重要とされているが、独自の水耕栽培装置によって従来農法の1.5倍の成長速度と縦型装置「ファームウォール」を導入することでの収穫量の確保に成功。この都市型水耕栽培装置「ファームウォール」は、すでに引き合いもあり具体的な案件もいくつか決まっているという。
担当者の談としては「多くの場合、レストランなどのディスプレイ用としてであり、本格的な農業としてはまだ少ない。装置を売るより農業をしたいのが本音なのだが・・・」と想いが打ち明けられた。
導入に際しては、水耕栽培、さらには農業に不慣れな場合も想定して、半年間のサポートも行っているという。「都市型の水耕栽培であっても収益が出る農業となることを知ってもらいたい」というのが担当者の想いだ。
コロナ禍の中、飲食宿泊業界は苦戦を強いられているが、「ピンチはチャンス」と業績を伸ばしている企業もある。苦境に立っている業界の次の一手のヒントが詰まった展示会だった。
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