1歳児と5歳児の保護者をしてます盛田諒ですこんにちは。ロシアがウクライナに侵攻する2日前、4歳児は誕生日を迎えて5歳児になりました。連載の場所をいただきながら休載ばかりなのはしのびないということもあり、平和だからこそ書ける平凡な育児日記を書いておきたいと思います。
誕生日は万難を排してキドキドへ
誕生日当日、1歳児を保育園に預けて、久々に妻と子の3人で出かけました。場所は子が行きたいと言っていたキドキドです。キドキドはボーネルンドが運営する有料の児童館的な施設。組み立てパズルやボールプールなど頭と体を使う遊具がたくさんあって、子どもが勝手に遊んでくれて便利なのですね。平日使い放題になるマンスリーパスも用意されていて、子どもを保育施設に入れていない親にとってはありがたいだろうねと妻と話したこともありました。その辺りについては『ごろごろ、神戸。』の平民金子さんが上手に書いてましたね。
せっかくの誕生日なんだからいつも行っている場所ではなく、たとえばお台場でチームラボを見るという選択肢もありました。成田エクスプレスに乗るとか、温泉に行くかとか、他にも色々考えていた企画はあったのですが、結局COVID-19のおかげですべてキャンセルに。子がキドキドを選んだのでよかったのですがさみしいものですね。振り返れば2年前、3歳の誕生日に台湾へ行こうとしていたときもCOVIDでキャンセルになりました。先日はウクライナの情勢を受けて台湾危惧説が報じられ、ツイッターでは「Taiwan Next」がトレンド入り。台北の夜市を子どもとうろつき、一緒に熱々の胡椒餅をかじるという願いを早く叶えたいのですが。
バスで向かったのはMARK IS みなとみらい。普段はテラスモール湘南という辻堂のショッピングモールに入っているキドキドに行っていますが、たまたま休みだったので横浜まで足を伸ばすことになりました。キドキドに子どもと入れる大人は1人だけ。1時間で交代することにして、空いた時間で久しぶりのウインドウショッピングをすることになりました。こういうとき、ついユニクロやアウトドアブランドに足が向かってしまうのは子どもと暮らすようになってから。作業着のワークマンが売れているのは子どもとの外遊びに使われているからではないかと思うんですよね。都内に住んでいたころ着ていたきれいなコートやパンツはほとんどメルカリに出してしまいました。ただ子も年齢が上がっていけば親と遊ぶことも減るだろうし、これも今だけかもしれないんですが。
5年で変わったものも変わらないものも
レインジャケットを何着か試してキドキドに戻ったとき、子どもはボールプールで的当てをして「30点を12回も取った!」と喜んでいました。初めて会った子どもと一緒に遊んでいたということ。基本的に1人で遊びたがる子なので珍しいなと驚きましたが、その後はすぐ1人になり、おもちゃの駐車場に淡々とミニカーを並べる遊びに移っていました。平常運転です。そこに小さな子がスススッと近寄ってきて、「これ使う!」と言ってミニカーを取りあげると、「実は取っちゃいけなかったんだよなあ……」と目をそらしたままぼそぼそ言いはじめる5歳児。これも平常運転です。向こうの子のお母さんに「すみません!」と謝られ、「いや、こっちこそ……」と親同士で頭を下げ合うことになりました。小さいころから変わらないこの気質。「まあナントカってわけじゃないんだけどぉ〜」という口ぐせも手伝い、絶妙な粘っこさがあるんですよね。私とは違う陰キャ感……。
変わらないといえば、眠くなったり腹が減るとグズグズ言うところも小さい頃から変わりません。キドキドを出たときには予想どおり「歩けない〜」と言って、タコのようにヘニャヘニャ体をくねらせました。「歩けなかったらバス乗れないよ〜」と言うと、「おっとうあっち行け!」と反抗期の様子も見せてくれます。4歳児の反抗期は健全に成長している証拠だと言われますが、男の子の4割は反抗期がないという調査もあるそうで、単に性格の違いなんじゃないかって気もしますね。とりあえず健全ということにして、「お父さんイヤだね〜」と言いつつ軟体と化した子どもを運びます。
その後、好物のたらこおにぎりを食べた子はバスで眠ってしまい、バス停から家までは妻がおぶっていくことになりました。妻は歩きながら「荷物が少ないことに驚いた」と言っていました。1歳児がいるときにはおむつ、離乳食、スタイ、着替え、ベビーカーとちょっとしたお出かけでも大量の荷物を抱えることになりますが、5歳児はせいぜい着替えとタオルくらい。荷物が軽くなったぶん子との距離が開いた感じもします。
やっと起きた子どもが「宇宙人して〜」というので妻と2人で子の腕を持って「捕獲された火星人」をやったところ、すぐに腕が悲鳴をあげました。3歳の頃は動物的な軽さでヒョイと持ちあげられましたが、5歳はさすがに人間の子です。ちょっと前に生まれた気がしていましたが、来年には小学生なわけでそりゃ重いですよ。気づけば私も40歳間近。人はすぐ老いるという意味で「うかうか三十、きょろきょろ四十」という言葉があるそうですが、家事育児に追われて嵐のように日々を過ごすうちに40代になり、いわゆる中年の危機を迎えるという人はいまどき結構多い気がしますね。
すべての誕生日が平穏に過ごされるように
なんとか家に着き、バースデーケーキを冷蔵庫に入れようとすると「早く食べたい」と子が急かすので、1歳児を早めに迎えに行ってお誕生日会をすることに。ケーキはオーソドックスないちごショートです。明かりが消えた部屋の中、ガスの少ないライターがカチカチ言う音がくりかえされ、5本のろうそくすべてに火がともります。ハッピーバースデーが歌われ、子が1本ずつ火を吹き消していき、儀式を終えたという達成感とともにケーキが切り分けられます。子は一番大きないちごをすかさず取って頬張っていました。クリームまみれのテーブルをふきんで拭きながら、今年も無事一年を過ごせたなあと大晦日のようなことを思ってしまいました。
ロイターが2月28日、ウクライナ保険省の発表として報じたところによれば、ウクライナの死者は子ども14人を含む352人。負傷者は子ども116人を含む1684人にのぼるといいます。不幸な子どもたちをこれ以上増やさないためにも、賢明な判断が下されることを望みます。すべての誕生日が平穏に過ごされ、平和に祝われるように。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。4歳児と0歳児の保護者です。Facebookでおたより募集中。
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