損害保険ジャパン、ティアフォー、アイサンテクノロジーは2月4日、東京大学大学院情報理工学系研究科の加藤真平准教授の研究室とともに、自動運転システムにより自律走行するレベル4以上に対応した「自動運転システム提供者専用保険」を開発したと発表した。
自動運転導入事業者が事業に活用する自動運転車に対して、自動運転システム提供者が保険を付保する契約方式は国内初としている。
本保険は、ティアフォーなど自動運転システム提供者を記名被保険者として、自動車保険における対人賠償・対物賠償・人身傷害・車両保険・ロードアシスタンスなどの補償を組み込み、サブスクリプション型で自動運転サービスの1つとして提供する。
自動運転中に発生した事故について、システム提供者の責任として保険の事故対応を進めることで、迅速かつ納得感のある被害者救済を目指す。事故が発生した場合には、事故原因の調査で東京大学の研究成果を活用し、自動運転技術を用いて得られる位置推定や障害物検知などのデータから、事故発生時の状況をハード・ソフトの両面で再現および検証する。
また、事故トラブルサポートの専用窓口を損保ジャパンの秋田センター内に新設し、24時間365日電話での対応を受け付ける。将来的には各種データと連携した対応窓口へと発展させ、サポート内容も拡充させていく予定。
自動運転システムの不具合予測および解析にはAI技術を導入。文科省JST CRESTの支援を受けながら、東京大学とともに、自動運転システムの不具合が発生する確率を数値化して自動運転保険の設計に適用する技術と、不具合の原因をシミュレーションにより特定する技術を研究している。
さらに、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援も受けながら、名古屋大学およびHuman Dataware Lab.とともに、自動運転車の安全な走行・運用を支援するソリューション(リスクアセスメント)の研究開発を進めている。
本保険は、まず自動運転システム「Autoware」の開発を主導するティアフォーへ提供し、ヤマハ発動機とティアフォーとの合弁会社であるeve autonomyが展開する自動搬送サービス「eve auto」に適用する。当面の間、2社による自動運転サービスの実装とともに、レベル4自動運転向けの保険・サービスを検証し、その後、多方面への展開を目指す。