特許から見るデジタルセラピューティクス(DTx)
・Save Medical社
ユーザーが手軽に生活習慣を改善できる情報処理装置:特許6810496
特許6810496は、2020年7月27日に出願され、2020年12月15日に登録されました。請求項1の記載は以下のようになっています。
【請求項1】
第1課題行動を提示する情報処理装置であって、 記憶部と、達成度選択部と、課題行動設定部と、を備え、 前記記憶部は、行動情報と、難易度情報と、カテゴリー情報とを対応付けて記憶し、 前記達成度選択部は、前記第1課題行動の達成度について、達成選択肢、再行動選択肢又は未達成選択肢を選択可能に構成され、 前記課題行動設定部は、前記達成度選択部において、 前記未達成選択肢が選択された場合、前記記憶部を参照して、前記第1課題行動よりも難易度の低い第2課題行動を設定し、 前記第1課題行動の難易度が最も低い場合、前記記憶部を参照して、異なるカテゴリーの第2課題行動を設定する、 情報処理装置。
第1課題行動、及び第2課題行動が概念的な記載となっていますので、特許明細書の記載から、それぞれがどのようなものかを確認します。
特許明細書の段落【0016】によれば、「第1課題行動210とは、例えば、インスリン非依存糖尿病、肥満、高脂血症、高尿酸血症、循環器病、大腸がん、歯周病、肺扁平上皮がん、慢性気管支炎、肺気腫、アルコール性肝疾患等の生活習慣病について、生活習慣の改善につながる可能性のある課題行動のことである。当該課題行動は、食事、運動、喫煙、飲酒に関するものが含まれる。」と記載されています。
また、段落【0017】によれば、「第2課題行動は、上記の生活習慣病について、生活習慣の改善につながる可能性のある行動として、第1課題行動210の次に設定される課題行動のことである。当該課題行動は、食習慣に関するもの、運動習慣に関するもの、休養に関するもの、喫煙に関するもの、飲酒に関するもの、が含まれる。」と記載されています。
特許6810496は、第1課題行動が達成できない場合、より容易な第2課題行動を設定し、第1課題行動が最も優しい場合、異なるカテゴリーの第2課題行動を設定することで、ユーザーの生活習慣を手軽に改善するようにしています。
CureApp社や、サスメド社の特許からは、治療用アプリで実装される機能が把握できましたが、Save Medical社の特許からは治療用アプリの機能が把握しにくいと感じます。臨床試験では、有意性と安全性を証明しなければなりません。臨床試験がされている治療用アプリは、特許6810496で記載される課題行動設定部よりも厳密な設定がされている可能性があります。Save Medical社は、治療用アプリの実装に沿った内容の発明に関する出願を今後するのではないかと考えられます。