災害備蓄を社会でシェア 防災テック6社がピッチ
「IoT H/W BIZ DAY Product Pitch 2021」
避難所の情報を簡単に提供
「混雑ランプ」はコロナ禍でも活用
次に登壇したのは株式会社ロコガイド シニアディレクター 石井 一弘氏。避難情報の発信について語った。
石井氏は前職で障害のある方の支援をしていた際に自然災害を経験。障害者の方にうまく情報が届かないという課題を痛感し、「その人に合う形で情報を届けたい」と考えた。
そんな経験から生まれた「混雑ランプ」はこのコロナ禍で始まったサービスだ。混雑状況の判断を担当者が手動入力することが大きな特徴であり、各所の混雑情報を気軽に発信することができる。現在も市役所の窓口や、レジャー施設でも活用が行われている。緊急事態宣言発令の際にも、都知事の会見で紹介された。
同社はこの「混雑ランプ」を活用し、避難所の情報・避難経路・備蓄情報・混雑情報など、シンプルかつ簡単に発信ができるサービスを開発。「コロナ禍で密が発生したため、避難場のたらいまわしが起きた。それらを避けるためにも情報の発信が必要」と石井氏は話す。ジェンダーや高齢者の方など多様化する避難者にも対応していく。「避難して終わりではなく、滞在サービスや避難所へ行くまでの経路も重要。避難所発発信インフラとしてサービスを提供していきたい」と語った。
サービスの大きな特徴としては3点あげられる。1つ目は「緊急時だからこそシンプルでわかりやすく」だ。また、自治体のサーバーがダウンしてしまっても、セカンドサーバーとして利用できるのも大きな利点である。2つ目は「自治体との連携」。自治体の情報発信をサポートしていく役割を持つ。3つ目はさまざまな企業とのアライアンスだ。
情報を発信したとしても見てもらえないという事は大きな課題であり、特に災害時においては命に係わる問題である。石井氏は「能動的な行動を増やすためにも、インセンティブを付与した情報発信を行なっていく」と話した。
「スマホやパソコンにアクセスできない人へのケアは?」と田中氏から質問が挙がる。「誰に届いているのか、いないのかの確認が重要。タブレット等を配布している自治体もあるので連携していく。誰に情報が届いていないのかはこちらでチェックもできるので、しっかり情報が届くサービスを展開していきたい」と石井氏は答えた。
牧野氏の「障がい者の方にどう情報を届けるのか少し分からなかった」という指摘に対し、石井氏は「目が見えない方へは、音声読み上げソフトと連携。耳が聞こえない方へは振動でのアラート等で対策をとっている。しかしまだ不十分なので、今後サービスを考えていきたい」と回答した。