船舶DXからAIメンタルケア、オンライン農業まで NTT comの共創成果発表
NTTコミュニケーションズ オープンイノベーションプログラム成果発表会「ExTorch Open Innovation Day」
データセンターの受付や点検業務をロボットが代行
2つ目のテーマは、「完全無人化された次世代データセンターの創出」。プロジェクトオーナーはNTTリミテッド・ジャパン株式会社、共創パートナーはTHK株式会社、東京通信機工業株式会社、RobiZy、タキゲン製造、リョービ、NECなど複数社が参加。
データセンターの設備数は年々増加しており、メンテナンスにかかるコスト、人材の確保が難しくなってきている。人の稼働工数を削減するため、プロジェクトでは、ロボットとICTサービスを組み合わせて運用業務の自動化ソリューションを開発。データセンターの運用コストは1拠点当たり年間6億円かかっており、手作業による設備点検や巡回を無人化すれば1.5億円の削減になる。これが実現すれば、電気・水道・ガスなど他のインフラ設備への展開も期待できる。
PoCでは、設備点検、受付/アテンド、立ち合いをロボットで実現できるかを検証。ロボットにはラックを開発するタキゲン製造や扉のドアクローザーを製造するリョービと協業。ロボットの実装にはTHKと東京通信機工業、NECが協力。ロボットを遠隔操作するための通信環境の開発にはNTTコミュニケーションズ、ロボット向けの運用プロセス検討にはNTTビズリンクが協力した。
受付ではNECの顔認証技術で認証し、遠隔操作または自律移動でアテンドを実行。設備点検では、タキゲン製造がラック自動開錠装置を新たに開発し、ロボットから信号を送信して開錠/施錠できるようにした。また、東京通信機工業の開発したロボットでは、データセンターの天井に配置したレールを走行してラックの開施錠と点検を実行。ロボットには360度カメラを搭載しており、作業の立ち合いにも活用できそうだ。
ロボットの導入には環境の整備が重要になるため、1)ロボットフレンドリーな環境構築のコンサルティング、2)ロボット選定/実装サービス、3)ロボットネットワークの構築、4)ロボットの保守運用―の4つのサービスをスマートロボティクスサービスとして提供する。2022年内には、自社グループ内でデータセンターの無人化運用、通信ビルでテスト導入を実施する予定だ。
点検ドローンの航行から調書の作成までを自動化
3つ目のテーマは、株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク×NTTコミュニケーションズによる「通信ビルを活用したSharing Drone Platformの実現」。
危険な現場の点検へのドローン活用が検討されているが、実際には現場にパイロットが赴いて撮影し、持ち帰ったデータを人手で解析している。人手に頼らないシステムにするには、ドローンの自動航行による設備点検と、AIによるデータ分析が必要だ。Sharing Drone Platformは、NTTコミュニケーションズが保有する全国の通信局舎から点検ドローンを発進し、自動航行&撮影、点検データをクラウドにアップロードしてAIで自動的に調書を作成するサービス。
PoCでは、自動航行による鉄塔の点検、ビルの壁面点検を実施。空間上にウェイポイントを覚えさせてトレースさせることで自動航行を実現させている。また、小型のポートを採用し、建物内にポートを設置して窓からドローンを飛び立たせることもできる。 1つの局舎から航行できる距離には限界があるため、将来的にはさまざまな局舎を経由しながら点検の範囲を広げていきたいとのこと。