ITとデザインの視点でフードロス削減を考えるアイデアソン<イノラボ×多摩美>

文●石井英男、ASCII編集部

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<過剰>ディスプレイコンビニ

 「過剰」のグループが発表したのは、「ディスプレイコンビニ」と「フードログ(健康管理アプリ)」というアイデアだ。

 「ディスプレイコンビニ」はコンビニの棚を実際の商品で埋め尽くすのではなく、棚を全てディスプレイ化して画像を表示する仕組みのコンビニで、無駄な発注を削減できる。

 「フードログ(健康管理アプリ)」は、正確な食事量を把握することで買いすぎ、作りすぎ、食べ残しを減らして、フードロス削減を目的としたアプリだ。特長は、大きさの基準となるスケールを使うことで、食べ物の量を正確に把握できることだ。料理の横にスケールを置いて、スマホのカメラで写真を撮ることで、食べ物の量を把握できる。

<期限>街のレトルトステーション

 「期限」のグループが発表したのは、「食材の可能性を教えるサービス」と「街のレトルトステーション」というアイデアだ。

 食材の可能性を教えるサービスは、野菜を使い切るのはすごく難しいので、消費者に食材を使い切るためのシステムを提案することで、好奇心を刺激して消費を促すというものだ。AIが家電製品の多くに組み込まれている前提で、野菜についているQRコードを読み込ませることで、冷蔵庫の中の余り物と今読み込んだ野菜を組み合わせたレシピを提案してくれる。

 街のレトルトステーションのコンセプトは、期限を延ばして廃棄を減らすというもので、ショッピングモールなどに設置され、そのモールの中のレストランやスーパーなどがレトルト化できると判断したものを持っていくことで、食材や料理をレトルト化し期限を延ばし、新たな販路で売ることができるというものだ。

<調達>3Dプリントフードコート

 「調達」のグループが発表したのは、「特殊な野菜を探して」と「3Dプリントを利用した食のテーマパーク」というアイデアだ。

 特殊な野菜を探しては、農家と消費者の間の距離が大きく、運送によってロスが生じる問題を解決するために、農家の直売所の場所を知らせるアプリを作ることで、農家と消費者の距離を縮め、新鮮な野菜を手に入れられるというものだ。

 3Dプリントを利用した食のテーマパークは、食材を丸ごと楽しむことでフードロスを減らすというのをコンセプトにしており、原料として規格外のものや、そのまま食べるには見た目や味が落ちるB級品の野菜や果物を利用し、原料をペースト状にして3Dプリンターで整形することで、皮や種なども余さず利用でき、子どもが苦手な野菜も形や味を変えることで食べられるようになるといった利点がある。また、咀嚼力が低い老人でも、普段は硬くて食べられない野菜などを食べられるようになる。

<継承>食育×教科

 続いて「継承」のグループが発表したのは、「全部食べるノウハウのデータベース」と「食育のためのプログラム」というアイデアだ。

 全部食べるノウハウのデータベースは、日本の食文化を継承しながらフードロスを削減することが目的のデータベースで、素材を余すことなく使える調理法を探すことができる。食育のためのプログラムは、野菜の目線になってみるというアイデアで、ターゲットは小学校低学年である。

 「食育×教科」というコンセプトでは、「食育×体育」の例として、運動をしながらみんなで肉じゃがを作ろうという体操が紹介された。5人のグループで、それぞれニンジンさん、ジャガイモさん、ニンニクさん、タマネギさん、シラタキさんになって、それぞれ材料と調理法にあわせた運動をするというものだ。

<市民化>アソベルスーパー

 「市民化」のグループが発表したのは、「アソベルスーパー」と「おとなりさん」というアイデアだ。「市民化」ということで、フードロスをどうやって自分ごととして捉えてもらえるかということを考えた。

 「アソベルスーパー」は、野菜についているQRコードを読み取ることで、どうやって育てられたか、誰が育てたかなどの野菜の履歴が分かる仕組みだ。

 「おとなりさん」は、人々がローカルのコミュニティに参加するきっかけとなるカフェで、余った食材や料理などを持ち込んでみんなでシェアするというコンセプトだった。

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