福岡・宗像「ひのさと48」は、地域の人たちが主人公になる“さとづくり”をめざす
西部ガス株式会社と東邦レオ株式会社は、福岡県宗像市と連携協定を結び、少子高齢化や空き家などの地域課題解決のために、宗像市日の里団地に団地1棟をリノベーションして地域の交流施設「ひのさと48」をオープンしました。
宗像市にある日の里団地は、今から約50年前に完成し、最盛期にはおよそ2万人が暮らしを共にした九州最大級の集合住宅です。
2020年、老朽化が進み人が住めなくなった一部閉鎖棟を解体し、次の50年を暮らす場をつくる団地再生プロジェクト「さとづくり48」が官民連携で始動しました。
住宅地再生を不動産的価値から暮らし価値の向上によって実現しようと、宗像市、UR、民間企業、地域住民の官民一体となりすすめているプロジェクトです。サスティナブルコミュニティをコンセプトに、地域課題解決型事業の創出を目指しています。
具体的には団地一棟をリノベーションして地域の交流拠点を設立し、ブリュワリー事業やDIY工房、コミュニティカフェをベースに、日の里らしさの文化作りから活動を始めています。
“48”は、本来は解体予定だった48号棟を利用していることに由来します。現地へのアクセスは、JR東郷駅日の里口から徒歩およそ15分。従来のバスとは違う新しい予約型の乗合バスサービスであるオンデマンドバス「のるーと」を利用することもできます(日の里地区オンデマンドバス「のるーと」実証運行内容・乗車方法)。
“コドゥーイング”のためのスペース
「さとのひワンダーベース」
2022年3月には、同施設内に新たに「さとのひワンダーベース」というコワーキングスペースならぬ「コドゥーイング(Co-doing)スペース」をオープン。
その名の通り、行政・地域・民間企業が一緒に(=Co)動きながら(=Doing)、より良い方法を試行錯誤していく拠点になることを目指しています。
アイデアがどんどん湧いてきそうな、ポップでカラフルな室内。Wi-Fi環境はもちろん、モニターなどの設備も整っているため、会議スペースとしても利用できます。
※参考リンク:福岡県から新たに始まる「共創型サテライトオフィス・ワークスペース」への企業誘致プロジェクトをスタート!
ブリュワリーやDIY工房、カフェなども
地域住民の憩いの場として会話を生み出す
施設内には日本初となる団地で醸造したクラフトビールが味わえるスペース「ひのさとブリュワリー」や、最新の木材加工機を備えたDIY工房「じゃじゃうま工房」、地産地消を楽しめるカフェやシェアキッチンなど、地域の会話を生み出す空間が揃っています。
近隣には小学校も多く、夕方は学校帰りの小学生たちが遊びに来ます。ひのさと48の1階のコミュニティカフェ「みどりto ゆかり日の里」では毎日子供たちの作戦会議が行われています。
子どもたちがやりたいことを実現して
まちがワクワクする取り組みを続けていく
小中学校の総合学習授業の一環として、子どもたちが日の里でやりたいことを大人たちが全力でかなえる「ひっさつわざプロジェクト」も始動中です。
“ひっさつわざ”とは、宗像の人々、みんなが持っているそれぞれの魅力のこと。すでに地域の価値になっているものもあれば、まだお金には変えられないけど、みんなに大事にされているものもあります。
勉強ができる、走るのが速いなど、学校の中で評価されやすいものではなく、みんなそれぞれがもっている多様な「技」を、認めあえたら、地域がおもしろくなるのでは? ということを考えるプロジェクトです。
また、子どもたちのアイデアがまちで実現する第1歩として、「団地クライミング」もオープンしています。クラウドファンディングで資金を募り実現させたこのクライミングウォールは、10メートルほどの高さで大人でも尻込みしてしまいそうなほどです。
日の里団地や宗像という地域で大切にされてきたものを次の世代に受け渡すことをテーマに、仕事、遊び、成長と、地域の会話を生み出す新しい文脈が次々に発信される拠点をめざす「ひのさと48」。
生まれ変わり続ける「ひのさと48」は、誰かにつくってもらう「まちづくり」ではなく、地域の人たちが主人公になって、よりよく変化させていく「さとづくり」を目指すプロジェクトといえるでしょう。