軽いロードスターが動きまで軽い秘密
動きが軽い代わりに、ロードスターのSグレードにはロールを防ぐリアスタビライザー、および左右駆動輪の回転差を抑制するリミテッド・スリップ・デフ、略してLSDが付いておりません。
ないと何が困るかと言えば、まず高速でコーナーに突っ込むとロールする。加速度次第では内輪が浮いて空転する。すると反対側の接地している車輪に駆動力が伝わらない。だからアクセルコントロールが効かず失速する。速く走りたければ必須のはずで、実際、手動変速機付きのロードスター全車に装備されております。では、なぜSだけ付いていないのか。
「いいか若けえの、心得のある者が操れば問題ないのじゃ。どうせ車輪を浮かせて公道を走るような人間にロクなやつはおらん。そういうことはNR-Aを買ってサーキットでやればよろしい。まず軽い挙動を満喫しなさい。初代がそういう仕様だったじゃろ」と、まあ、そういうグレードがSなのだと私は理解しております。
実際、スタビライザーはサスペンションの動きを規制して乗り心地を悪化させ、LSDはハンドリングを阻害する方向に働く。だったら重いだけで要らんというわけで、そこがSグレードの軽快さの源泉でしょう。
そして現在のロードスター最量販モデルであり、かつ購買層の3割が30代以下ということでも話題の特別仕様車「990S」は、そのSグレードをさらに軽量化したなかなかマニアックな仕様。軽量ホイールとアルミキャリパーでバネ下を軽くし、それに合わせたバネとダンパーを装着。パワステとエンジン制御もそれに合うよう最適化したという、メーカー公式軽量化チューンのようなモデルです。
この990Sが今年10月の軽井沢のファンミーティングで公開された際、この990Sも含め、12月に入る商品改良後のロードスターすべてのモデルに、LSDの代替制御のようなものが導入されると伝えられました。なんでも、それによる重量増はゼロなんだとか。
正式発表によれば、その名称も「キネマティック・ポスチャー・コントロール」、略してKPC。直訳すると「運動学的姿勢制御」。なんじゃそら。
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