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業界人の《ことば》から 第464回

企業は専業化しないといけないは思い込み、大谷選手の二刀流から感じる

2021年12月21日 18時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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 小島社長兼COOがいう「基礎工事の完了」とは、日立が掲げてきた社会イノベーション事業を推進するための地盤が出来上がったことを意味するともいえるだろう。

 振り返ってみると、「社会イノベーション事業」は、2021年6月に亡くなった中西宏明元会長兼CEOによって打ち出されたものだった。

中西宏明元会長兼CEO

 小島社長兼COOは、「中西さんが日立に残した最大のものは、『社会イノベーション事業』というコンセプトとビジネスモデルであった」と断言する。

 「それまでの日立は、様々な事業機会を得て、そこに進出し、それぞれが大きくなり、それぞれの事業分野で自律的に運営し、成長していく企業であった。アメーバのように広がって、大きく成長する企業であった」としながらも、「その結果、会社の数も増え、複雑になるという課題が生まれた。また、それぞれの事業領域が徐々にコモディティ化し、成長が鈍化。そこにリーマンショックが重なり、すべての状況が悪くなった」と振り返る。

2010年5月の会見で社会イノベーション事業を打ち出した。

 日立は、2008年度に7873億円という大規模な赤字を計上。そのとき、中西元会長兼CEOは、子会社である日立グローバルストレージテクノロジーズの会長兼CEOから、本社の副社長に呼び戻され、2010年には日立の社長に就任。当時会長を務めた川村隆氏とともに、子会社からの経営トップへの就任は、異例の人事として話題になった。

 そのときに中西氏が取り組んだのが日立の体質改善だった。

 小島社長兼COOは、こう語る。

 「それぞれの事業が大きくなるのではなく、すべて事業がひとつの目的に向かう――。これが社会イノベーション事業の姿である。将来、こうなりたいということではなく、この問題を解きに行くという『意思の経営』が根本にあり、すべての事業ポートフォリオはそのためにあるべきだと考えた。その方向性のなかに入るものは強化し、入らないものは外に出した。中西さんが決めた会社の形を追い続けてきたのがこの10年間の取り組みであった」

 そして、小島社長兼COOは、「これからの成長の10年は、中西さんの想いやビジョンを本当の意味で実現していく10年になるともいえる」と表現する。

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