このページの本文へ

連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第10回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 11月27日~12月3日分

クラウド導入の期待外れは「コスト」?、ランサム身代金高騰、自動運転の飛躍は2025年以降、ほか

2021年12月06日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(11月27日~12月3日)は、クラウド利用企業の実態、自動車コネクテッドと自動化動向、ランサムウェア、大学生に人気の就職先、米国のサイバーマンデー速報についてのデータをご紹介します。

■[クラウド]クラウド利用企業の66.4%が「クラウドファースト戦略」、導入後の評価はおおむね良好(IDC Japan、12月1日)
・クラウド利用中の企業の66.4%が「クラウドファースト戦略」を持つ
・導入検討時に懸念が多い「セキュリティ」も、導入後の評価は良好
・コスト削減に高い期待、だが導入後には不満を持つ企業も

 IDC Japanが10月、パブリッククラウド/プライベートクラウド利用中の国内企業444社にクラウド導入時の期待と実態について調べた。導入後の評価は「おおむね良好」であり、特に「導入のしやすさ」「運用のしやすさ」などに高い評価。「セキュリティ」は導入前に懸念を持っていた企業が多いが、導入後には高い評価が得られているという。一方で、導入前の期待が高い「コスト」については不満も見られた。IDC Japanでは、スキル不足のためクラウドを使いこなせていない企業も多くみられると指摘している。

導入前の期待と実態をたずねたところパブリッククラウドの方がプライベートよりも評価が高い(出典:IDC Japan)

■[モビリティ]日本の自動車総保有台数は2035年まで年0.9%で減少、コネクテッドカーはまだ苦戦状態(PwCコンサルティング、12月2日)
・2035年までの自動車総保有台数、日本は年率0.9%減
・2025年、新車販売台数に占めるBEV(バッテリー式EV)はEUが27%、日本は5%
・「自動運転」が大きく成長するのは2025年以降

 PwCネットワークの戦略コンサルティングチームStrategy&の年次グローバル調査「デジタル自動車レポート2021:第1章 世界のモビリティ市場のダイナミクスを評価する」日本版。2035年までの自動車総保有台数の変化予測では、日本が年率0.9%、欧州でも同0.6%で減少、一方で中国は年率3.9%、米国は同1.3%で増加と予想。総保有台数の50%がコネクテッド車両になるのは、欧州は2025年、米国は2023年、中国は2029年とみる。コネクテッドサービスの顧客基盤が最低必要規模に達しつつあるが、依然として信頼性の高いサービスの大規模展開に苦戦しているという。

EU、米国、中国、日本の各市場での新車販売における技術の普及(出典:PwC AutoFacts、Strategy&)

■[仕事]大学1、2年生でも根強い公務員人気、3年連続で人気の就職先トップに(リスクモンスター、11月29日)
・大学1、2年生の就職したい企業トップ3は「地方公務員」「国家公務員」「楽天」
・「全日本空輸」など旅行・鉄道は順位を下げる
・望む就業のかたちは「出世して高収入」「優良企業で安定」

 全国の合計300人の大学1、2年生を対象とした調査「大学1、2年生が就職したいと思う企業・業種ランキング」の7回目。公務員がトップ1、2を独占するのは3回連続で、男女別、文理別の両方で公務員がトップとなった。公務員を選ぶ理由として「地元で働ける」「安定している」などが挙がったという。民間では「楽天」「Google」「任天堂」「アップル」など、自身が日常で使うモノやサービスを提供する企業が多く上がった。

今回調査(左)と5年前調査(右)の比較。「公務員」トップは変わらないが、上位企業の半分が入れ替わっている(出典:リスクモンスター)

■[セキュリティ]ランサムウェア被害は継続、身代金平均支払額は前年比1.8倍の57万ドル(パロアルトネットワークス、12月3日)
・ランサムウェアの身代金平均要求額は2020年の85万ドルから530万ドルに
・身代金平均支払額は57万ドル、昨年調査の31万ドルから1.8倍に
・新規脆弱性数(CVE)は11月25日時点で17971件、昨年を上回る予想

 2021年のサイバーセキュリティ振り返りと2022年の国内サイバー脅威の予測。ランサムウェアは日本の警視庁でも上半期61件の被害報告を受けており、これは2020年下半期の21件から3倍近くの増加となる。世界では身代金の要求額、支払額、最高支払額、最高要求額、すべてが2021年は2020年を上回る結果となっている。在宅勤務の増加によりフィッシング活動も活発化。2022年の予測として、セキュリティ人材獲得がさらに困難になるとしている。

ランサムウェア攻撃では求められる身代金の規模が大きくなっている(出典:パロアルトネットワークス)

■[生活][EC]米国のサイバーマンデーは前年比1%減、だが年末商戦は最大の売り上げを予想 (アドビ、12月2日)
・米国のサイバーマンデー(11月29日)のオンライン消費額は、前年比1.4%減の107億ドル ・11月1日~29日のオンライン消費は、前年比11.9%増の1098億ドル
・11月1日~12月31日では、前年比10%増の2070億ドル、過去最高を予想

 Adobe Analyticsの分析データに基づく「Adobe Digital Economy Index」より、米国のECを調べた。コロナ禍で迎える2回目の年末商戦、今年はサイバーマンデーだけを見ると2020年比1.4%減少したものの、11月1日からの4週間では前年比11.9%で増えている。12月末までの2ヶ月間でも、前年比10%増加すると予想。なお、サイバーマンデーで売れた電子製品は「AirPods」「Apple Watch」や各社ノートPCなど。ゲームは「Just Dance 2022」「Mario Party Superstars」など。ピーク時には毎分1200万ドルが消費され、最大のオンラインショッピングデーとなった。米国も“リベンジ消費”が活況であることを裏付けている。

2021年10月1日以降のオンライン平均価格変化/コンピューター製品(出典:アドビ

カテゴリートップへ

この連載の記事