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業界人の《ことば》から 第460回

東芝にはテレビも家電もパソコンもない、分社化は進化になるのか

2021年11月22日 09時00分更新

文● 大河原克行 編集●ASCII

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分社化した後に東芝の名は残るのか

 新会社のスピンオフおよび上場完了は2023年度下期を目標にしているが、「実行可能な範囲で、プロセスを速める努力をする」(綱川社長兼CEO)と述べた。また、新会社の名称については、東芝テックのように、東芝の冠を残すか、キオクシアのように東芝の冠を残さないかを含めて、現時点では未定としている。

 なお、東芝グループ全体では、2023年度に売上高3兆5000億円、営業利益は2000億円、営業利益率5.7%、EBITDAが3300億円、ROICが10%、フリーキャッシュフローは1000億円を目指すことも明らかにした。

 これまでの中期経営計画である「東芝Nextプラン」では、2023年度には売上高で4兆円以上、営業利益では8%以上としていたものに比べると、これを大きく下回ることになるが、綱川社長兼CEOは、「東芝は、過去の中期計画を達成した試しがないと指摘された。確実にやり切る数字を考えて、今回の計画に盛り込んだ」と述べた。

 今回発表した3社への再編について、東芝の綱川社長兼CEOの氏は、「株主価値の向上という観点に加え、すべてのステイクホルダーの視点に立ち、事業ごとのビジネスの特性、バリューチェーン、ビジネスサイクルなどの観点から徹底的な議論を行い、この戦略的再編がベストであるとの結論に至った」とする。

 そして、「東芝は140年以上の長い歴史のなかで、時代の変化とともに、会社の形を変えて、進化をしてきた。新たなインフラサービスカンパニーとデバイスカンパニーは、それぞれの事業領域でリーディングカンパニーとなることを目指す。未来に向けた変革の始まりである」と位置づけた。

 綱川社長兼CEOは2つの新たな会社を「経営重心が違う」という言葉で表現する。

 「インフラサービスカンパニーは、特定顧客向けに、直接、機器やソリューションを提供することが特徴であり、ビジネスサイクルは長期に渡るものが多く、市況よりも当事者間の交渉内容に影響を受ける事業である。設備投資の規模は相対的に小さく、個別に受注生産を行う。その一方で、デバイスカンパニーは、ビジネスサイクルが短く、市況に大きく左右されるビジネスであり、多くの顧客ニーズに合致するために、多くの品種を提供し、見込み生産も行う。多額の設備投資を機動的に行う必要がある」とし、「インフラサービスカンパニーとデバイスカンバニーは、ひとことでいうと、経営重心が違う。これをひとつのところでやっていたのがこれまでの東芝。大きく異なるビジネス特性の観点から、2つの事業を分けるべきだと判断した。スピンオフすることで、専門性のある経営体制で、それぞれの市場機会を捉え、競争優位性を確保することができ、従業員にとっても、自己成長の機会を得ることができ、特定分野での成長の可能性が生まれる。メリットの方が大きい」などとした。

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