パーソルイノベーションの新サービス「コミックラーニング」事業責任者・仙波敦子氏に聞く
漫画を読んで新人研修!? 企業の悩みはコミックラーニングが解決する!
2021年11月11日 09時00分更新
「スマホで漫画を読む」時代にピッタリ!
―― コミックラーニングの概要から教えてください。コロナ禍でe-Learningによる社内研修は当たり前になりましたが、あえて漫画を使う理由は?
仙波 e-Learningによる社内研修は受講率が低く、そもそも研修の認知度からして芳しくありません。この課題をコミックで手軽に学ぶという切り口で解決するのがコミックラーニングです。
メリットとしてはまずコミックということもあり、講習を始めるにあたってのハードルが低くなります。そして、のちほどお話しますがコミックにすることによって学習効果も高まります。加えて、事前・事後テストで個々人の弱点を把握して理解度を測れます。
現在、サービスプランを2つ用意しています。企業様の作りたい内容でコミックを制作するオーダーメイドプラン、そして一定期間読み放題になるサブスクリプションプラン(2021年11月末開始予定)です。
各教材はPDF形式ですので、パソコンのみならずスマホやタブレットからも受講可能です。手軽に学習を開始・継続しやすい仕組みになっています。
―― 研修教材用のコミックはどのように作られるのでしょう?
仙波 制作面に関しては、通常のコミックと違い、プロット制作・シナリオ制作の後に学習要素の分析を実施します。ここでストーリー性と学習要素を両立させるわけです。そして学習効果が得られると判断されたところでネームを作り、その内容に沿って、今度はコミックを読んだ後に実施するテスト設問の制作が始まります。
―― ネームが学習要素をきちんと押さえていれば、この段階で適切なテスト設問を作れるし、仮に上手くいかなければ再度ネームを切り直す、というわけですね。とはいえ、漫画としての面白さと、企業が求める学習要素を両立させることは案外難しいのでは?
仙波 そうですね。制作するのはエンタメに振り切ったコミックではなく、あくまでも「教材」ですので。学習要素とエンタメ要素を両立させるべく、制作にあたっては「インストラクショナルデザイン*」の考えを取り入れるために研究者でもある大学機関とも連携しています。
*「Analysis(分析)、Design(設計)、Develop(開発)、Implementation(実施)、Evaluation(評価)」のプロセスで学習教材などを作成する方法。
また、KADOKAWA出版事業グループコミック第2統括部 統括部長の池上昌平氏にもアドバイスをいただいており、教育・エンタメの両面からクオリティーを担保しています。
―― 昨今、「漫画で学ぶ●●」といった大人向けの学習漫画は珍しくありませんが、コミックラーニングが提供する社内研修のような領域においても、漫画は教材として適切なのでしょうか?
仙波 コミック教材は受講者の能動性を引き出すことに優れていますので、下図の通り「当事者意識の醸成」をゴールとした研修テーマで強みを発揮します。
たとえば業務の自分ごと化に対しては、登場人物(キャラクター)への共感が当事者意識を強めます。また業務理解・自覚化といった、わかっているつもりだけど、じつは理解していない系のテーマ――個人情報、労務・制度など――をわかりやすく解説することに関してもコミックの強みを活かせると思っています。