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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第634回

ネットワークに特化したIPUのMount Evansでシェア拡大を狙うインテル インテル CPUロードマップ

2021年09月27日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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クラウド向けのSprings Canyonと
SmartNIC向けのArrow Creek

 さてこのIPUとしてインテルがまず投入したのが、FPGAベースのOak Springs CanyonとArrow Creekである。Oak Springs Canyonはまさにクラウド向けIPUである。

Oak Springs Canyonの概要。正確に言えばインテルはプロセッサーやFPGAと設計デザインを提供、これをInventecやSilicomが利用して製品化したという話で、インテル自身はこれを搭載したIPUカードは出さない模様だ

 Agilex FPGAが100GbEのコントローラーおよび一部のネットワーク機能のオフロードを行ない、FPGAで実装しきれないところは同じくボードに搭載されたXeon-Dでカバーするという格好だ。

Oak Springs Canyonは、メモリーだけでローカルに32GB搭載するという、これはこれでなかなか重厚な構成。おそらくFPGA側はインテルなどからIPを提供、これをそのまま使っていじらない(ユーザーのカスタマイズはXeon-D側で行なう)ということだろう

 実際の製品は以下の2製品がラインナップされているが、FPGAをAgilexではなくStratix 10に切り替えており、それもあってかイーサネットはどちらもデュアル100GbEではなくデュアル25GbEになっているあたり、本格的に使うにはやや性能的にどうだろう? という感じになっている。いきなり全面的に導入するユーザーはそう多くないわけで、まずは試験的に使ってみよう、といったお試しユーザーには安価なStratix 10ベースの方が現実的なのかもしれない。

 一方Arrow CreekはSmartNIC向けである。IPUとSmartNICの違いは、SmartNICの方ができることが限られるというあたりだろうか。ネットワーク処理の高速化や負荷軽減がメインで、インフラ回りの処理やVirtual SSDの類はサポートしない。

Arrow Creekはアプリケーションプロセッサーを搭載しないのがOak Springs Canyonとの違い。とはいえ、実はFPGA内にCortex-A55プロセッサーを搭載できる(搭載するモデルとしないモデルがあるので、どのFPGAを使うかで変わる)から、多少のことならやれなくはないだろう

おもしろいのはFPGAからイーサネットが出るのではなく、イーサネットコントローラーは別に搭載し、その制御をFPGAがするようになっていることだ

 ただリファレンス構成を見るとFPGAにDDR4 16GB(こちらはSmartNICの本来の処理向け?)とは別にDDR4 4GBが接続されており、FPGAに搭載するCortex-A55コアを生かしてなんらかの処理をする構成になっている。このArrow Creekも、Silicomから製品がリリースされている

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