もはやすっかり定着した感のあるアップルのオンラインでの新製品発表会が開催された。今回はiPadやiPhoneなど、iOS系のデバイスとApple Watchの新製品発表で、それぞれの内容にも、Mac系の製品がなかったことにもがっかりした、という人も多かったかもしれない。確かに発表された製品は、目新しさという点では弱かったと言える。名前も含め、系統的として、これまでの製品を継承するものばかりだったからだ。しかし皮肉ではなく、そうした漸進的な進化の重要性も感じさせるような、ある意味腰の座った力強い新製品群だと感じさせられたのも事実だ。どういうことか、中身を見ていこう。
いつもどおり、時間配分からチェック
いつもながら職業病的にまず気になるのは、それぞれの新製品の中身よりも、各製品の説明にかけられた時間配分と順番だ。言うまでもなく、長い時間がかけられた製品ほど、アップルが重要だと考えているのは明らかだし、基本的には後から登場するものの方がより重要とみなされていると考えていい。今回は、ほぼ登場順に説明にかけられた時間も長くなっていたので、各製品の重要度の差が二重に強調されるかたちとなった。
最初にCEOのティム・クック氏によるイントロダクションがあった後、なぜか新製品とは直接関係のないApple TV+の番組紹介が挟まれたものの、その後はiPadに始まり、iPad mini、Apple Watch、iPhone 13、同Proと新製品の紹介が続いた。これらの時間配分を円グラフで表すと以下のようになる。
新製品は、今回の発表の中でももっとも地味なiPadから始まり、次が少なくとも目新しさという点では今回トップのiPad miniと続く。時間は、これらのiPadシリーズを両方足しても全体の20%しかなく、テンションはあまり上がらない印象だ。
次のApple Watchは、なぜか日本では当分サポートの予定すらないApple Fitness+と合わせて、全体の約20%だった。実時間で言うと、Apple Watch本体が約10分、Fitness+が約6分だったが、なぜか後者がやけに長く感じられるものだった。
次は、なんと言ってもアップルの稼ぎ頭であるiPhoneの新製品、iPhone 13とiPhone 13 Proが続く、最初に両方に言及する紹介があったので、それをiPhone 13に入れると約25%、iPhone 13 Proは約23%となる。いずれにしても両方合わせて全体のほぼ半分を占める。
大ざっぱに言えば、両iPhoneで全体の5割、Apple Watchで2割、iPadを両方合わせて2割、残り1割という時間配分で計画された発表会だったものと考えていいだろう。
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