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鹿島建設の“カーボンニュートラル”コンクリート「CO2-SUICOM」とは

“活炭素社会”を実現。植物のようなCO2を吸収するコンクリート

2021年09月28日 17時00分更新

文● ASCII

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鹿島建設が開発したCO2吸収型コンクリート「CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)」による地先境界ブロック

話題のカーボンニュートラルを実現するコンクリート

 近頃、大きな話題となっているのが「脱炭素社会の実現」だ。国内では経済産業省が「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を策定し、2021年のG7サミットでも、気候変動対策の観点から主要議題のひとつとなった。

 脱炭素社会を実現するためのコンセプトのひとつが「カーボンニュートラル」で、これはCO2の排出量と吸収・除去量を同量にする=プラスマイナスゼロにするという考え方である。CO2の排出をゼロにすることが難しいとしても、吸収する量を同一にすれば、温室効果ガスであるCO2が大気中に増え続けてしまうことはなくなる。

 鹿島建設が開発したCO2吸収型コンクリート「CO2-SUICOM(シーオーツースイコム)」は、植物のようにCO2を吸い込み、CO2排出量をゼロ以下にするという特徴を持った製品。これは、商品化されている中で、業界唯一の技術だという(※)。

※2021年9月現在、鹿島建設調べ

 正式名称は「CO2-Storage Utilization for Infrastructure by COncrete Materials」で、通称をCO2-SUICOMとしている。開発されたのはおよそ10年前。中国電力、化学品メーカーのデンカ、コンクリートメーカーのランデスと共同開発をし、すでに商品として実用化されている。

 コンクリートは通常、その主原料であるセメントの製造時に大量のCO2を排出する。CO2-SUICOMの場合、セメントの半分以上を「γ-C2S」と呼ばれる特殊な混和材や、産業副産物に置き換えることで、まず、セメント製造時のCO排出量を大きく削減している。

 さらにγ-C2Sは、CO2と反応することでCO2を吸収し、硬化する性質を持っている(炭酸化反応)。硬化中にCO2を吸収し、中に溜め込んで固定化するのだ。従来のコンクリートを置き換えることで製造中のCO2の排出量を低減できることに加え、コンクリートがCO2を吸い込むことで、トータルのCO2排出量をゼロ以下にすることが可能といい、理論上、「つくればつくるほどCO2を削減する」ことになる。

一般的なコンクリートとCO2-SUICOMとの、CO2排出量の違い

開発に着手したのは10年以上も前だった

鹿島建設の渡邉氏

 鹿島建設の渡邉氏は「コンクリートが二酸化炭素を固定化する『炭酸化』は、コンクリート中の鉄筋がさびやすくなることから、従来、劣化現象として扱われていました。私たちは、鉄筋が入っていないコンクリート製品なら、炭酸化をしても問題ないという天邪鬼的な発想から、開発を開始したのです」と話す。

 開発に着手したのは2008年頃だが、そのころはまだ、脱酸素社会が世間の関心ごとになってはいなかった。10年以上前に開発を始めていた理由に関して、同氏は「開発に着手した頃は、CSR(企業の社会的責任)というワードで、企業活動の環境負荷低減が求められていた背景があります。そのような要請に応えようと開発を開始したのがCO2-SUICOMなのです。

 コンクリート製品にCO2を吸わせるために、温度・湿度の調整やCO2を吸わせ始める時期など、工夫と調整が必要になりましたが、2011年には初めて実際の建設現場でこのコンクリートを使用し、2013年からは、プレキャスト製品メーカであるランデスさんと製品化を行なってきました。なかなか先の見えない研究でしたが、いずれ、何らかの形で人の役に立つはずと考え、その想いを強く持って研究開発を続けてきました」と、これまでの経緯を話す。

境界ブロックなどにも利用されている

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