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鹿島建設の“カーボンニュートラル”コンクリート「CO2-SUICOM」とは

“活炭素社会”を実現。植物のようなCO2を吸収するコンクリート

2021年09月28日 17時00分更新

文● ASCII

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他企業と連携しながら進めるカーボンニュートラル

 同社では、今年の7月に東京ガスと協業して、都市ガス機器利用時の排ガスに含まれるCO2を吸収・固定化させてCO2-SUICOMを製造する技術の開発に、共同で取り組んでいくことを発表している。この協業にあたっては、東京ガス千住テクノステーションで地先境界ブロックの試験製造を行ない、排ガスに含まれるCO2を吸収・固定化できることを実際に確認してから、東京ガス日立LNG基地の外構工事にも導入した。

 「建設業のリーディングカンパニーとして、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、脱炭素技術を全面的に導入していきたいと考えています。建設業の建設にまつわるCO2排出量は0.6%とそれほど大きくはないのですが、セメントや鉄など、建設資材の製造に関わる排出量が非常に多いのです。

 鹿島建設としては、資材を使っている責任があるため、業界全体を含めてカーボンニュートラルを目指していきたいと思っているんです。CO2-SUICOMは鹿島独自のキー技術と位置づけて、積極的に導入を進めていきたいです。CO2-SUICOMは、カーボンニュートラルといより、CO2を活用してCO2を削減する、『活炭素』なので、この特徴を活かしながら、志を同じくする企業との協業も進めていきたいですね」(渡邊氏)

CO2を活用してCO2を削減する、『活炭素』なので、

 カーボンニュートラルという考え方に関して、電通による「カーボンニュートラルに関する生活者調査」というアンケートの調査結果を引用すると、対象者1400人(全国の10代〜70代)のうち「内容まで知っている」という回答が14.6%、「内容は知らないが、言葉だけは知っている」という回答が27.5%だった。

 ふたつを合計しても42.1%であり、「一般的によく知られている」と言えるかは微妙なところで、どちらかというと、企業のEGSを注視している投資家たちの方が、より気にしている印象もある。しかし前述のように、国内外でカーボンニュートラルに関する取り組みは進められており、今後も、カーボンニュートラルという言葉を聞いたり、意識させられる機会は増えていくものと思われる。業界に関わりのない一般消費者はCO2-SUICOMのような建築資材を意識する機会もまた少ないかもしれないが、いつの間にか、家のすぐそばで、CO2-SUICOMがCO2を吸収してくれている時代が来るかもしれない。

2021年9月30日:掲載時、商品名の一部に誤りがあったため、訂正しました。

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