至上の喜びタッチ、どこから見ても惚れ惚れ
TENTAKUの外形サイズは多少厚みはあるが、ブラウンの伝統的な電卓サイズに近い。キーのタッチはストロークが4mmもあるチェリーMXメカニカルキースイッチを使ったので、レガシーだけどトラディショナルなメカニカルキー好きのユーザーにはもう至上の喜びタッチだ。手に持って良し、前から見ても上から見ても横から見てももう素晴らしいの一言だ。
自分で組み上げた完成品を眺めていて、ふと一部のキーキャップの向きを間違えていることに気が付いた。どうもキーキャップを袋から出して並べた時に一部のキーキャップを間違えた向きで置いてしまったらしい。
ひとまず間違って押しこんでしまった3個のキーキャップを自宅にあった専用工具で引き抜き、向きを正して再度押しこんだ。確かに以前に比べて見た目も安定して落ち着いた本来あるべき姿になった。
TENTAKUはDIY組み立てキットなので、一般的にチェリーMXメカニカルキースイッチ用に発売されているサイレンサーリングなども活用できる。また数字キー以外のキースイッチを緑軸以外の消音型キースイッチやタッチ感の異なる他カラーの軸に変更するのもなかなかおもしろそうだ。もちろん気に入ったカラーリングのキーキャップがあれば速攻で交換して楽しめる。
TENTAKUキットが5500円、キースイッチが17個でたぶん1870円くらい、そしてキーキャップが1980円、労賃は楽しみな作業のため無料だと考えると、かかった総費用は9350円。なんと歴史ある電卓メーカー製の12桁多機能電卓が数台以上買える値段だ。
最後に、極めて大事なことなのでご説明しておきたいことがある。TENTAKUは、1000円以下のごく普通に使える実用的な電卓を望んでいる人にとってコスパ最低の無用の長物だ。
表示できる桁数はたったの6桁、扱える数値は0〜999999迄、今のところ小数点で1桁使ってしまうので、小数点演算をしたり、結果がマイナスになったりするとますます桁不足が起きてしまう。なのでちょっとした計算でも桁あふれERRORが連発することがある。
幸いなことにお小遣いの少ない筆者は、買いたいモノも月の生活費も含めてすべてが6桁以内なので、当面さしたる不安もない。そんなことより、1985年のIBMPCバックリングキーボードとタッチ&フィールとカラーリングが極めてよく似たTENTAKUは、何物にも代えがたい自作ガジェットだ。遊舎工房とBOOTHには今後も“無駄を楽しむ余裕の新作プロダクト”を取り扱ってほしい。
今回の衝動買い
アイテム:A&N LABORATORY「テンキー型 電卓自作キット “TENTAKU”(てんたく)」
・購入:BOOTH
・価格:5500円(キースイッチとキーキャップは別途必要)
T教授
日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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